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どのように子育てをするか、と考えた時、親世帯の協力を得るという選択も一つでしょう。東京都・成増に住む田村さん(仮名)一家は、二世帯住宅などでの同居ではなく、あえて奥さんの親世帯との"近居"を選びました。自転車で5分と、とても近い距離で暮らしています。
「実際、うちは共働きなので、近くに親世帯がいるのはありがたいですね。急に子どもを迎えに行かなければならなくなった時や、家族が熱を出した時など、よく助けてもらっています」
そう話すのは夫の田村さん。さらに「子どもの面倒をお義父さん、お義母さんが見てくれるから、夫婦ともに自分の時間も持ちやすい」と教えてくれました。子育ての負担が減るということは、余裕を持って子どもと向き合えるということ。"子どもの幸せは両親の幸せから"と言われますが、近居をすることでその言葉通りの暮らしを送ることができているようです。
他にも「物の貸し借りがしやすい」といったユニークな意見も。特に、マイカーを所有していない田村さん一家にとって、クルマを気軽に借りられるのはうれしいとのこと。家族で物をシェアする生活はたしかにスマート。支出を必要最小限にできるかもしれません。
親世帯の近くに住むことは、生活的にも経済的にもメリットがある。子育て世代にとっては特に、一つの選択肢となりえるでしょう。
ただ、ここまでは二世帯住宅にも共通する話。近居ならではの利点はあるのでしょうか?
「同居するより、親世帯と良い関係性を築けると思います。親と同居することになると、家族とはいえどうしても気疲れをしてしまう。また、炊事や洗濯、生活態度などで気になる点があったら、親世帯と子世帯で口出しをしてしまったり……。共同生活ならでの苦労がありますが、近居ならそういった問題はありません」
別の住居に住むことで必要以上に干渉することを避けることができ、両親の手を煩わせることも減る。ネガティブな気持ちがなくなる分、親世帯を素直に頼りにできると、田村さんは言います。
一方で、奥さんは「家族の介護がしやすいこと」も近居のメリットに挙げました。
「実は、両親の家の近くに祖母も住んでいるんです。高齢なので多少の介護は必要なのですが、同居していると介護ヘルパーなど行政のサービスを利用できないんです。そのために別居しているわけではありませんが、近居で世帯が別れていることで支援も受けられ、何かあったときにすぐに対応できる。介護のストレスも緩和でき、自分たちの生活も維持しやすいと思います」
子育てだけでなく、親の介護も避けられない人生の問題。何事も「備えあれば憂いなし」ですから、将来を見据えて近居を選んでおくのもアリでしょう。互いの世帯が適度な"距離感"を保つことが、育児疲れや介護疲れに対する次善の策となります。
さらに近居しているのは田村さん世帯と親世帯、祖母世帯だけではありません。なんと奥さんの妹世帯を加えて、4世帯が近場に住んでいます。その暮らしぶりは「仲良し家族」という言葉がぴったりです。
子どものお誕生日会も4世帯全員でお祝い。運動会も、皆で集まって大盛り上がり。大人同士は会話に花を咲かせ、年の近い子ども同士も大はしゃぎ。"一族"団欒でイベントを楽しんでいます。
特に、小さなお子さんがいる妹世帯とはお出かけすることも多いとのこと。「例えば、千葉のディズニーランドや埼玉の西武園ゆうえんち、東武動物公園などに行きました。大人が4人もいれば、子ども4〜5人は余裕で面倒を見られる。だから気軽に遊びに行けます」と田村さん夫妻。自分たちが行かない場所にも誘ってくれるので、子どもたちにいろんな経験をさせることができているそう。
「そもそも世帯間の仲が良くないと近くに住まないと思います。ただ、住まいが近いことで助け合いが発生し、自然と距離感が縮まっているのかも。それでいて過度に関わり過ぎない。すごく暮らしやすいですね」
親子や兄弟姉妹と言っても別の人間。生活リズムも嗜好も異なります。「自分たちのリズムは崩したくないけど、家族全員でワイワイ楽しく暮らしたい」という田村さん夫妻には、近居はベストな選択肢なのでしょう。
そして、そんな生き方は田村さん夫妻だけでなく、多くの人が望むもの。昭和のホームドラマのようなアットホームさと、自分らしく生きるライフスタイル。その2つを備えた近居は、田村さんにとって、家族との時間を大切にするための理想的な形です。