三井でみつけて

家族とともに36年。リフォームを経て魅力を増した2世帯住宅

不測のタイミングで訪れた隣居

邸宅を感じさせる立派な佇まいが印象的な、Sさん家族の2世帯住宅。築後33年を迎えたタイミングで大規模なリフォームを実施し、現在の姿となりました。新たに息子さんご家族を迎え入れた住まいには、どのような思いが込められているのでしょうか? Sさん夫婦、息子さん夫婦にうかがいます。

御父様とSさんが相談し、三井ホームでこの住まいを建てたのは1985年のことでした。外からみるとひとつの大きな家に見えますが、玄関も内部もそれぞれ独立されている完全分離型の2世帯住宅になっています。ツーバイフォー工法のリーディングカンパニーだった三井ホームは当時、日本の住宅に欧米様式のデザインをいち早く採り入れ、2世帯住宅の普及を目指していたところでした。つまり、当時の最新トレンドだったのです。当初はSさん家族が西側の棟に、御父様夫婦が東側の棟に居住。しかし御父様夫妻が施設へ転居された後、東側の棟は十数年の間、時間が止まった状態でした。

こちらは竣工当時に撮影された写真。リフォームで増築できたのは、建物前の敷地に余裕があったため

そんなある日、すぐ近くのマンションで暮らしていたSさんの息子さん家族が急遽、引っ越さなければならない事態に。元気よく走り回るようになったご子息(Sさんから見るとお孫さん)の足音が階下に響くのを気にされてのことでした。

「いつか一緒に暮らせたら良いな、と思っていたのですが、すぐにそのタイミングがやって来るとは想定していませんでした。そこで三井ホームに連絡し、どのような改修計画が可能か、相談したんです」と語るSさんご主人。ご夫婦が長年暮らしてきた西側の棟を5人構成の息子さん家族に譲り、使っていなかった棟に移動するプランを検討することになりました。

建物本来の魅力を再解釈するリフォーム

相談を受けた三井ホームの半田氏・小船井氏は耐震性、耐久性などを診断した上でまだまだ長く暮らせると判断し、Sさんご夫妻が手狭に感じられていた東棟の間取りを増築することで、新築時の面影も残しつつ、より暮らしやすい住空間に生まれ変わることができますよと提案。それがリフォームの決め手になったそうです。そして、大規模な2世帯住宅のリフォームが始まりました。

向かって左側の棟前に建てられているのが今回、増築された部分。従来の建物と違和感のない仕上がりだ

リフォームプランナーの小船井氏が配慮したのは、この住まいが本来もつ風格を損なわず、その上でリフレッシュした効果がしっかり感じられる作りとすることでした。付け柱が整然と並ぶ様子が美しい外観。増築しても、これは残したいと考え、屋根と増築部分の間から付け柱が見える設計を検討します。しかし付け柱に使われている資材を現在調達することは困難。そのため一度取り外した柱を再加工して取りつける方法を施工業者に依頼しました。壁色についても、実は以前、地域の施工業者に発注した外装工事で三井ホームオリジナルカラーとは異なる色合いとなっていましたが、今回のリフォームで新築時の落ち着いた色合いに復活されました。

Sさん家族の2世帯住宅は凛とした佇まいが印象的。リフォームにあたっては、この雰囲気を壊さないよう丁寧に配慮された

間取りについても、「Sさんご夫婦が以前お住まいだった西棟の横長LDKに比べ、新しい東棟はLDKが縦長なるレイアウト。光を採り入れるのが難しかったのですが、できるだけ明るく感じられるように工夫しました」と小船井氏は語ります。新設されたサンルームは、5匹もいる猫たちの専用スペース。燦々と日光が降り注ぎ、ぽかぽかと温かそうな空間で猫たちがくつろいでいます。

東側の棟は、リビングとダイニングが縦につながる間取り。6人掛けのテーブルが無理なく収まった

好きな物を長く使う考え方は家具にも

奥様が「脚の形が独特で、とても気に入っている」というダイニングテーブルはリフォーム前より大切にご使用されていたもの。ゆったりしたサイズですが、設計図面上にテーブルを配置して確かめた、というだけあり、ぴったり気持ち良く収まりました。低めでゆったり掛けられるソファも長年愛用している品で、リフォーム後のインテリアに合わせて生地も張り替えられました。「買うときはちょっと高価だな、と思っても、本当に気に入った家具なら飽きが来ず、結果的に長く使える」というのがSさん夫婦共通の考え方は、SDGsが求められている今、とても素敵です。

インテリアコーディネートについては主に奥様がリード。幼少の頃から住宅広告の間取り図を眺めるのがお好きで、今でも部屋に似合う家具やアート作品をあれこれ考えたり、選んだりする時間が楽しい、と語るだけあり、センスの良さは抜群です。リビングダイニング空間はアートや家具が映えるよう、シンプルに仕上げられた一方で、キッチンや洗面台にはブロンズカラーのモザイクタイルをあしらい、ホテルライクな面持ちに。空間ごとに表情の異なる、メリハリの効いた素敵なインテリアが完成しました。

重厚感あるアルミ素材のタイル壁が採用されたキッチン。インテリアの素敵なアクセントに
センス良くコーディネートされたデザインの手洗い。タイル張りがお気に入り

見た目の美しさだけでなく利便性についても、十分に検討されています。特に収納は今回最もこだわった部分のひとつで、寝室にはご夫婦それぞれ用のクローゼットを新設。奥様用のウォークインクローゼットは洋服やバッグなどの小物をたっぷり収納できるスペースとなりました。

寝室にビルトインされた壁面収納には写真や書籍を。ここも奥様のセンスによるもの
床暖房を導入したのも今回のリフォームにおけるトピック。床板には天然木の趣きを醸し出す三井ホームオリジナルの無垢挽板が使われた

それぞれの世帯にとって幸せな結果に

息子さん家族が入居された西棟については従来の間取りを活かしながら、内装を一新してリフレッシュ。キッチンに配された爽やかなターコイズカラーのタイルなどからは、若々しさが感じられます。リフォームを検討する上で、収納力アップがテーマのひとつでしたが、従来オープンの飾り棚だった部分に扉を設けるなど、「隠してスッキリ見せる」タイプの収納にアレンジ。

こちらは息子さん家族が暮らす西棟のリビングダイニング。ワイドな間取りで明るい空間となっている

「私はお義母さんのように綺麗に飾り付けるのが得意ではないので、リフォームプランナーの方には“見せない”方向で考えてもらいました」と息子さんの奥様。西棟のインテリアについてSさん夫婦は基本的に口を出さず、息子さん夫婦に一任。隣あう住まいに同居しながらも、適度な距離感を保ちつつ、独立性を重んじるSさんの哲学が窺い知れます。

階段の吹き抜けはSさん夫婦が唯一、「できれば残して欲しい」と息子さんに要望を伝えた部分
息子さん家族のキッチンはターコイズのタイル壁でフレッシュな印象に

「前居も実家から歩いて5分の距離だったのですが、今回はさらに近くなって、何かあったときでも安心。ここなら子どもが思う存分元気に遊ぶことができるようになりました。父母にも孫の顔をより頻繁に見せられるようになりました」と息子さん。息子さんにとっては、小さい頃から住み慣れた我が家でもあります。築後36年を経て生まれ変わり、美しさも利便性も上がった2世帯住宅。多世代の家族に愛され、これからも家族の幸福を見守り続ける威厳が感じられました。

半田久美氏

半田久美氏
三井ホーム(株)千葉オーナーサポート部
柏リフォーム事業室
リフォームエキスパート
二級建築士・インテリアコーディネーター

小船井敏子氏

小船井敏子氏
三井ホーム(株)千葉オーナーサポート部
リフォームプランナー
一級建築士・インテリアコーディネーター

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