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東日本大震災をきっかけに、34歳で首都圏から地元の静岡県裾野市にUターンした鈴木さん。現在は家業である家具工場を継ぎ、ソファ専門の独自ブランドを設立、活動的に生活されているとか。そんな鈴木さん、年齢を重ねてから帰ってきた故郷の風景は、若い頃とは少し違って映ったそうです。
「実感したのは、コミュニティのありがたさ。震災時、私の自宅は神奈川県川崎市にあり、職場は東京都世田谷区にありました。家族とは連絡が取れない。夜中までかかって徒歩で帰宅したら、妻と子どもは毛布にくるまり、怖さに耐えていました。考えてみたら、近所を含めて、気軽に助け合えるような人が周りにいなかった。孤独だったんですね。今は、両親や幼なじみ、ご近所さんといった、地域の人々に助けられていると実感しています」
もうひとつ気づいたのが、豊かな自然。子どもの頃の自然に対する意識は、ボーイスカウトなどでキャンプをしていた鈴木さんにとって、あって当たり前のもの。しかし、都会での生活を経て、それがいかに贅沢なものだったか気づいたと言います。
「10代の頃は意識しなかったのですが、車で少し足を伸ばすとキャンプ場が沢山あります。富士山の絶景を眺めながらBBQができるのはとても贅沢。すっかりアウトドアが趣味になって、家族や従業員、友人や地域の人たちと楽しんでいます。アウトドアを通じて、いいコミュニケーションが取れていますね。今は仕事が忙しいので、正直、家族との時間が増えたわけではありません。しかし、関係性の質は深まった。そういった意味で、以前よりも格段にワーク・ライフ・バランスは充実しています」
川崎に住んでいたときも、たまにキャンプには行っていたし、多摩川でBBQも楽しんでいたという鈴木さん。当時は楽しかったが、「本当の意味でのアウトドアを知ってしまうと、もう混雑した多摩川のBBQでは満足できませんね。子どもを本物の自然と触れ合わせることもできます」と語ります。
また、キャンプ場が近いと、意外なメリットも。「子どもがぐずったり、なにかあったりしたときには、すぐに帰れる。川崎市に住んでいたときは、キャンプをするために遠出をしていたので、子どもが夜に怖がって大泣きして困った記憶があります。場所が近いと、キャンプなどのアウトドアを気軽に楽しめますね」
今では、キャンプギア集めがちょっとした趣味になった鈴木さん。自らのソファーブランドともフィロソフィーが近いアウトドアブランド「スノーピーク」のギアにこだわっているのだとか。少し広めに造作された自宅のシューズクローゼットに、アウトドアグッズを収納するスペースが設けられています。
そんなアウトドア好きは、ご自宅にも現れていました。こだわったのは、リビングから続くウッドデッキ。「裾野市にある戸建てにしては狭い」と謙遜しますが、BBQを楽しむこともできる広さ。普段も、ランチを取ったり、お風呂上がりにビールでノドを潤したり、家にいながらアウトドアを感じられる大事な場所です。
ほかにもアウトドアを感じさせる箇所はたくさん。例えば、リビングで存在感を示しているのは薪ストーブ。周囲のレンガももちろん本物です。ソファを作るときにでる針葉樹の廃材を燃やせるように、高い燃焼温度に耐えられる『ネスターマーティン』の製品をセレクトしたそうです。また、2階には子どもが遊べる滑り棒を設置しています。
「アウトドアっぽさもこだわりですが、実は、この家はリビングにあるソファありきで設計・建築しているのです。この家のテーマは『FUN!HOUSE!』。そこにあるソファだから『FUN!HOUSE!SOFA』です。デニムで有名な岡山県のデニム地を使い、ダイニングから見える後ろ姿の美しさにもこだわりました」
「木はムク材、薪ストーブもその周囲のレンガも本物、ソファに使っているデニム地も天然素材。家のなかから、なるべくフェイクを除きたかったんです」という鈴木さん。スイッチやドアなどの建具には、ハンドメイドやアンティーク素材を活用、家具類も木と鉄を上手く組み合わせたシンプルモダンな雰囲気です。
「家を持てたのも、裾野市にUターンしたから。川崎市で支払っていた賃料よりも、ローンのほうが安いですからね。賃貸では狭くて置けなかったお気に入りのインテリアや観葉植物も、戸建てなら大丈夫。おかげで、自分が理想とするスタイルの住まいを実現できました」
今は、一般社団法人の代表として、裾野市の魅力を伝え、地域を盛り上げる活動にも力をいれてている鈴木さん。都心からのアクセスも良く、数多くのキャンプ場や「富士サファリパーク」、「フジヤマ スノーリゾート イエティ」といった観光施設も多い裾野市に人を呼び込むために、日々、粉骨砕身しています。
「初心者にもアウトドアを気軽に楽しんでもらうために、憧れだったSnowpeak と提携してアウトドア用品のレンタルを行う『手ぶらCAMP』という取り組みも始めました」という鈴木さん。自らのライフスタイルを変えた自然の豊かさ、アウトドアの楽しさ、そして裾野市の魅力を、多くの人に伝えるのが、これからの目標だといいます。