三井でみつけて

好きなものと暮らす。「昭和レトログッズ」に囲まれたコレクターライフ

「ビッグボーイ」がコレクションのスタート

Instagramでレトログッズを公開し、人気を集めているレトロポップコレクターのキャラメルさん。2014年に購入した一軒家に家族4人(夫婦、5歳の息子、3歳の娘)で住んでいます。いまの住まいを探す際、それまで倉庫に眠っていた沢山のコレクションが似合うという視点を大切に検討してきたとのこと。そんな一軒家に、所狭しと飾られているグッズの数はおよそ6,000点。ジャンルもアメトイ(アメリカントイ)を中心に日本の昭和レトロなグッズや洋服、果てはマネキンまでとバリエーションも豊富です。

そんなキャラメルさんがレトログッズにはまったのは高校時代でした。

「当時、古着が流行っていて、自宅から離れた古着屋さんまで毎日のように通っていたんです。そのうち、お店にディスプレイされているソフトビニールフィギュアに目がいくようになりました」

お店に飾られているフィギュアが欲しいと思ったキャラメルさん。しかし展示品で販売はされておらず、また、売っているショップも近くにはありませんでした。『いつかは手に入れたい』と思っていたキャラメルさんにチャンスが訪れたのは18歳の時です。

「通ううちに仲良くなった古着屋の店員さんから『ビッグボーイ』の(マスコット)フィギュアを安く譲ってもらえたんです! このフィギュアは、所ジョージさんが持っているのをテレビで見て知っていたので、本当に嬉しかったですね。何といってもこの表情が好きなんです」とキャラメルさん。
ビッグボーイとは、アメリカで生まれたファミリーレストランのことで、マスコットキャラクターのフィギュアはコレクターにとって人気の高いアイテムです。それを手に入れたことがきっかけでキャラメルさんはアメトイにのめり込んで行くようになります。

アメトイにのめり込むきっかけになったビッグボーイのフィギュア。大切なコレクションの一つとしてリビングに鎮座している

日本にもアメリカに負けないカルチャーがある

本格的にコレクションを開始したキャラメルさん。フリーマーケットに足繁く通ってはアメトイをコツコツと買い集めるようになります。しかし、なかなか気に入ったものが見つかりませんでした。そんなとき、声を掛けてくれたのがあの古着屋さんだったのです。

「あるとき、ビッグボーイを譲ってくれた古着屋さんから『廃業するのでお店にあるグッズを大量に処分する』と聞きました。当時、僕はお金がなかったので、母親にも資金を借り、処分するグッズを全部買い占めました」

それからは、母から借りたお金を返済し、アルバイト代を全てコレクションにつぎ込む生活が始まりました。コレクションは次第に増え、いつしか部屋を埋め尽くすほどに。当時はビッグボーイのフィギュアから火が付いたアメトイだけが収集対象でしたが、2011年のあるイベントで、日本の昭和レトログッズと運命的な出会いを果たしたそうです。

「2011年、東日本大震災の復興支援のためのフリーマーケットが開催されました。僕は『アメトイがあればいいなー』と軽い気持ちで遊びに行ったのですが、そこで古い雑貨を扱っている人がおり、何よりもその見た目に釘付けになってしまいました」

その人の風貌はロン毛でラッパズボン1960年代のヒッピーそのままのスタイルでした。キャラメルさんは、その人を見た瞬間ビビッと電気が走ったといいます。

「『凄い人もいるな』と思って話しかけたら、日本にも昭和レトログッズという、アメリカに負けないカルチャーがあると教えられました。見た目に気を取られていましたが、その人が扱っているグッズこそまさに昭和レトログッズだったのです。アメトイを見つけた時と似た不思議な感覚に襲われましたね」

復興支援フリーマーケットを機に、他のフリーマーケットや骨董市にも通うようになったキャラメルさんですが、無駄にコレクションしないために、自分に4つの条件を課しました。
(1)県外には出ない
(2)(フリーマーケットや骨董市に)行くのは月に2回まで
(3)予算は1回2万円
(4)欲しいものがなければ買わない。
それでも約10年でかなりの金額をつぎ込んでいるそうです。そんな自分なりのルールをこのように語ります。

「東京に行けばいろんなショップもありますし、いろんなものが手に入ります。でも、地元で買った方が地元も盛り上がると思うのです。だから、地元の貢献を意識し、決して無理をせず、好きなものだけを集めるスタイルを続けていますね」

フリーマーケットを機に、日本の昭和レトログッズにも注目するように

グッズと一緒に背景にある“物語”や“歴史”を買う

キャラメルさんは一見、無差別にコレクションを増やしているように見えますが、そこには信念があるといいます。

「僕はグッズを買っているのではなく、グッズと一緒に背景にある“物語”や“歴史”を買っているんです。昭和レトログッズにはバックボーンがあり、当時の人の生活が見えてきます。それらを学べるので勉強になるんです」

例えば、気に入った昭和テイストのコップがあったとして、ショップの人に「昔はこのコップにカルピスを入れて飲んだもんだよ」といわれると、カルピスに興味がわき、カルピスの瓶や木箱などのグッズを集める。一つのコップからカルピスの物語や歴史を紐解くことができるのだそう。キャラメルさんはモノが好きなのではなく、それを使った人やその人達の物語が好きだと語ります。

「よく『昭和は貧しい時代だった』といわれます。僕は平成元年の生まれなので、昭和はよく知りませんし、集めているレトログッズにしてもそれで遊んだという原体験はありません。ですが、僕が好きな高度経済成長期真っ只中の1965年から1975年のグッズを見ると、実は言うほど貧しくなかったように感じます。というのも、高度経済成長期はまさに“イケイケドンドン”の時代だったこともあってか、今ではできないような豪華なデザインが施されているのです。実際はどうだったかわかりませんが、そんなことをレトログッズを通して感じますね。そこが魅力です」

日本のグッズはアメトイに比べると格好悪いところもあるのだけど、日本の職人さんの技と情熱があり、作りが良いところに惹かれる、とキャラメルさんは笑顔で語ります。

“物語”や“歴史”を感じる昭和レトログッズが所狭しと飾られている

コレクションとともに生活するのがスタイル

キャラメルさんが結婚したのは2014年。奥様は大学の後輩で、キャラメルさんがコレクターだということは知っていたそうです。

「一緒にフリーマーケットにも行きますよ。『これ、面白いんじゃない』と見つけてくれることもあるので、理解はある方だと思います」

結婚してすぐに中古住宅を購入。間取りは4LDKで、寝室を除く3部屋がコレクションルームになっています。

「中古住宅にしたのは、賃貸と違ってリノベーションがしやすかったからです。釘を打つのも壁紙を貼り換えるのも自由です」

購入してすぐにそれまで実家の倉庫に押し込んでいたコレクションを全て並べることにしたキャラメルさん。乱雑に並べるのではなく、世界観にこだわって配置しているそうで、特にこだわったのが玄関とリビングです。

「部屋ごとにアメリカ、昭和40年代、ポップと世界観を決めて、そこに合うコレクションを並べています。その世界観に合わせてグッズを買っていますし、どれだけ良いものでも世界観に合わないと思ったら買いません。玄関とリビングは特にこだわりましたね。玄関は帰ってきたとき、好きなものが迎えてくると嬉しいですし、リビングは生活の中心となる場所なので、お気に入りのものを飾っています。大切なのは、『調和』と『コレクションで生活が豊かになること』です」

このように世界観を大切にしているキャラメルさんのコレクションに対する考え方は、グッズのみで完結するものではないといいます。メインとなるグッズがあり、それを置くことによって周りの空間に世界観が生まれ、さらにそこの世界観を膨らませるように新たなグッズを追加していくそうです。

現在の住まいを購入する段階で、すでにたくさんのコレクションを所有していたキャラメルさん。それらのコレクションがマッチする空間を求めた結果、昭和の風情が残る現在の住まいと出会いました。

コレクションで遊ぶ子どもたち。思い思いに気に入ったグッズで遊ぶ

コレクターとしてユニークなのは、子どもたちが触っても大丈夫で、壊しても決して怒らないことです。以前は大事にしていたUFOキャッチャーのお金を入れる部分を壊されたこともあったそう。そんな当時のことを振り返り、キャラメルさんはこう語ります。

「子どもたちにはゲームはやらせません。その分、僕のコレクションで遊ばせています。だから壊したっていいんです。UFOキャッチャーの一部を壊されたときはショックでしたが、子どもと一緒に直しました。今では子どもだけでも直せるようになったし、壊したおもちゃは自分たちで直そうとします。自分たちで学んでくれているのが嬉しいですね」

コレクションから生まれる世界観に包まれたキャラメルさんの住まいは、家族みんながものを大切にし、楽しく暮らすことができる空間です。これからも新たなコレクションと共に、キャラメルさんの空間づくりは続いていきます。

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