

事業企画やシステム系のコンサルタントとして、大手企業に入社しキャリアをスタートさせた川井さん(仮名)。しかし、広い領域の業務を経験したいと考えていた川井さんは、部分的な経験しかできない大手企業の体制に物足りなさを感じていました。
また、大企業では時間の配分や業務の選択に自由が少なく、“外的要因”によって自分のペースが乱されることが大きな悩みだったそうです。
そんな川井さん、裁量が大きく、かつ事業の全体に関われる職場を求めて、中小企業、スタートアップとあえて規模の小さな企業へと転職。最終的にはフリーランスとして独立を果たします。
現在はフリーランスのコンサルタントとして、企業の事業企画やシステム開発に携わり、日々様々な常駐先を駆け巡っているそう。それと併せて、知人と「やりたいことを事業化するための法人」も設立し、より自由な働き方にも挑戦しています。
仕事を中心に考える川井さんの住まいを選ぶ基準は「仕事先まで5駅以上10駅未満、乗り換え無し」。職場が変わる度に、この基準に合わせて引っ越してきたそうです。
「仕事に没頭してしまう性格なので、タクシーで帰れる距離だと何時まででも働いてしまうし、かといって遠すぎて通勤が大変なのも嫌なんです」
もともと板橋の実家に住んでいた川井さんですが、職場が変わる度にこの基準に合わせ、新丸子、中目黒と引っ越し、現在は台東区の蔵前に住んでいます。現在の住まいが一番気に入っているという川井さんですが、「最初は中目黒という都心の生活なので、どのような生活を送れるかと期待していたのですが、結局同世代と集まる街は渋谷や新宿などで、中目黒へは寝に帰るだけでした」と、当時を振り返ります。
クライアントに関わる都合上、日々、様々な場所に足を運ぶ生活。3路線の駅が利用できる現在の住まいは、そんな生活にも最適とのことです。また、住んでみてはじめて分かった街の魅力もあったと川井さんは言います。
「清澄白河や森下、水天宮前なども引っ越し先の候補にあり、それらと比べると蔵前は何もない街なんじゃないかなと思っていました。ただ住んでみると、ビルをリノベーションした家具屋さんやコーヒーショップなどいろいろなお店があって、そのわざとらしくない「オシャレ」感がとっても良かったり。お酒が好きなんですけど、バーもたくさんあって、同じ街に住む飲み友達がたくさんできました。今までの生活の中で一番『その街を使いこなしている』と思っています」
下町のイメージがあるかもしれない蔵前ですが、古い建物をリノベーションしたカフェや、ファッション雑貨のお店なども多くあるとのこと。都会の生活に慣れた一部の人たちの間では、より生活に溶け込んだ「オシャレ」感を感じられる街として注目されているそうです。
近場の隅田川の涼風にあたりながらアイスを食べて帰るのが好きだという川井さん。自由な働き方に応えてくれるこの街で、自分のライフスタイルを存分に味わい尽くしています。
また、フリーランスとなってからは自宅を仕事場にすることも多くなっていったと川井さんはいいます。
「前は『ほぼ寝るための家』としてベッドとローテーブル程度しか置いていなかったのですが、ここを仕事の場にする様になってからは高さのあるテーブルを購入し本棚も本の量を減らして、豆から淹れられるコーヒーメーカーも買いました。自分が仕事を行う上で気持ちよく。家の中でも自由に過ごせる様にしたかったんです」
これまでは住まいにあまりこだわりがなかった川井さんですが、自由に働く上で自宅で過ごす時間も増え、心地よく過ごせる空間にこだわりが出てきたそうです。心地よい空間で過ごすことが、仕事をする上でのモチベーションに繋がるといいます。
フリーランスとして仕事をしていくと、今まで以上に仕事において理想とする状況が実現できるようになったと川井さんは語ります。
「自分は困っている誰かのサポートに入って仕事をする事が好きで、フリーランスになってからは『誰かをいつでも助けに行ける余裕を持ったスケジューリング』にしています。自分が誰かを助けたいときに、会社の事情でそれができない、といった不自由がなくなったことはとても大きいです。自分で予定をコントロール出来ないストレスが無くなったので、納得できるまで仕事に向き合える様にもなりました」
自由に働くための環境を求めて現在の仕事と住まいに行き着いた川井さん。彼女の求める自由は、単に自分のためではなく、仕事を通して誰かを助けたい、そんな信念が感じられるものでした。