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ガイドとめぐるジモト旅 | ガイドとめぐるジモト旅 Part.3 新旧の魅力が融合した街「武蔵小杉」

村上さん
武蔵小杉にはよくショッピングに来るんです。いつも決まったお店ばかり巡ってしまうので、今日は新規開拓できるのを楽しみに来ました!
本平さん
武蔵小杉は、新しさと昔ながらの場所が共存する素敵な街です。駅周辺以外にも魅力的なお店がたくさんあるんですよ。
村上さん
それは期待しちゃいます! ところで、「NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント」とは、どのような団体なのですか?
本平さん
地域住民や市民活動団体、行政や企業などと連携を図りながら、まちづくりを推進していく団体です。再開発によって武蔵小杉にはタワーマンションが増えましたが、タワーマンションは1棟あたりの住民数が多く、マンションごとに組織化されています。そのため、町内会とのつながりが薄くなってしまいがちなんです。そこで、イベントや子育て支援、地域清掃などを通じて、新旧住民の交流を手助けしているんです。ようは、ハブのような存在ですね。
村上さん
素敵な取り組みですね。イベントはどのようなものがあるのですか?
本平さん
春はオープンカフェ、夏は盆踊り、秋は10万人以上が来場するコスギフェスタ、冬は商店街主催の餅つき大会など、もりだくさんですよ。
村上さん
1年中イベントだらけで楽しそう! 子どもたちも喜びそうですね。

再開発以前は工業都市だった武蔵小杉。工場に勤める人たちで活気に満ちていた時代もあったのだとか。工場の撤退などで一時は人口が減ったものの、再開発でこれまで以上のにぎわいを取り戻した現在は、古くからのお店にも客足が増え、駅周辺や交通機関の利便性も向上するなどして、「旧来の住民からも再開発にポジティブな声が聞かれますよ」と本平さん。それもきっと、新旧住民をつなぐ活動の賜物なのかもしれません。

 

◆武蔵小杉の人情が生んだ『おやつ研究所』

本平さんたちの活動から武蔵小杉の歴史を振り返っていた2人が最初に向かったのは、2016年にオープンした『おやつ研究所』。一体どんなお店なのでしょうか?

本平さん
ここは、武蔵小杉の中でも比較的新しいお店です。看板メニューのスコーンは、各地から買いに訪れるほど絶品なんですよ。
村上さん
駅から少し離れた住宅街にあるのも、隠れた名店っぽくて素敵です。店名から工場のようなところを想像していたけど、カフェなんですね。店内もすごくおしゃれです。

ここからは店主の大谷佳子さんを交えて、お話を伺うことに。

本平さん
『おやつ研究所』というのは、なかなか変わった店名ですよね。由来はなんだったのでしょうか?

大谷さん
昔からお菓子作りが好きで、いろいろ食べ歩いて研究してはその味を再現していたんです。それで、いつか自分のお店を持てたら『おやつ研究所』にしようと決めていたんです。
村上さん
食べただけで再現できるなんてすごいですね。一番人気の商品はなんですか?
大谷さん
一番人気は、北海道産チーズに数種類のヨーグルトや生クリームなどを合わせた「ベイクドレアチーズ」(350円・税込)です。蒸し焼きにすることでとろけるような舌触りに仕上げています。あとは、「全粒粉のスコーン」(350円・税込)。石臼で挽いた粒子の細かい粉を使用しているので、食感はザクッとしているのに口どけはまろやかなんですよ。季節の食材などを取り入れているので、時期によっていろいろなバリエーションが楽しめます。
村上さん
どれもすごくこだわっているんですね。
大谷さん
武蔵小杉は小さなお子さまも多いので、安心して口にできるものを提供したいと思いまして。発酵バターや国産小麦、きび砂糖など、使用する材料には特に気を使っています。
村上さん
それにしても、なぜ武蔵小杉にお店を出そうと思われたんですか?

大谷さん
そもそもは奈良県明日香村の日本料理屋で15年ほどパティシエをしていたのですが、都内の和菓子店から商品開発に協力してほしいと声がかかって上京しました。そして、そのとき住んだのが武蔵小杉だったんです。田舎から出てきた私に近所の人がとても親切にしてくれたことから、「いつか自分のお店を出すならこの街に」と思っていました。
村上さん
人情味を感じるエピソードですね。
大谷さん
関東の人は冷たいと聞いていたので驚いた反面、すごくうれしかったのを覚えています。お店をオープンしてからも、近所の人が常に気にかけてくださるし。SNSに疎い私を見かねてお店のアカウントを設定してくれたり、体調が悪いときにおかゆや豚汁を届けてくれるお客様もいたりして、本当に温かい街だと感じています。

お話を伺いながらいただいたのは、「Coffee(HOT)」(580円・税込)。メニューとの相性を考えて調合されたオリジナルブレンドです。

実は、奈良の日本料理屋で働いていたときに使用していたコーヒー豆を取り寄せているそう。武蔵小杉の住民の方々から愛されているお店は、昔からの縁も大事にしているようです。

◆スタイリッシュに味わう隠れ家風本格中華『ウチダテイ』

それではそろそろ次のお店に……とお店を後にしようとしたところ、「ウチダテイには行かれましたか?」と大谷さん。

本平さん
先に言われてしまいましたか! 実は、これから行こうと思っていたんです(笑)。
村上さん
偶然ですね。おふたりがおすすめする『ウチダテイ』、すごく期待しちゃいます。

本平さん
さて、その『ウチダテイ』はこちらです。店構えはスタイリッシュですが、本格中華を味わえる創作中華料理店なんです。
村上さん
素敵! デートで連れてきてほしい雰囲気ですね。
本平さん
味は一流なのにリーズナブルなので、デートで利用される方も多いみたいですよ。僕は接待や地方の友人が遊びに来たときなどによく来るのですが、誰を連れてきても「おいしい!」と好評です。

本平さん
今日は僕のおすすめの「高知県産土佐あかうしスネ肉のワイン煮」(2,700円・税別)と「五島列島産 クエの葱生姜蒸し」(3,400円・税別)をいただきましょう。

本平さんおすすめのメニューを、店主の内田さんのお話を伺いながらいただくことに。

村上さん
中華って大皿の料理を取り分けることが多いからつい遠慮しがちですけど、これならゆったりといただけますね。
内田さん
ありがとうございます。中華街で5年、その後は都内の中華料理店で修業を積んだのですが、大皿の盛り付けだと残ってしまうことが多くて。それで、1人前ずつ盛り付けるスタイルにしたんです。

村上さん
おいしい!! 口に入れた瞬間、お肉がとろけました!
本平さん
クエも身に弾力があるし、中華風の味付けの中に上品な風味を感じます。
内田さん
素材にこだわっているので、食材の良さを活かせるように味付けや調理方法にも気を配っています。
村上さん
あまりにおいしくて、あっという間に食べきってしまいました(笑)。内田さんから見て、武蔵小杉の魅力ってどんなところですか?

内田さん
下町過ぎず、それでいて都会すぎない、ほどよい感じのところでしょうか。仕事の接待などのほか、家族や友人との食事、仕事帰りなどにひとりでフラッと飲みに来られるお客様もいますが、みなさんとても親しみやすいです。

村上さん
実は以前、武蔵小杉に住みたくて物件を探したことがあるんです。そのときに高級な印象があって、手が届きにくい街だと思っていたのですが、そんなこともないんですね。
本平さん
都会のタワーマンション群とは少し違うので、内田さんもおっしゃっていたように下町と都会両方の良さが融合しているんですよ。
村上さん
思ったより親しみやすくて、歩いてみると自然も多いのでびっくりです。
本平さん
それでは、最後は80年近く武蔵小杉の移り変わりを見つめてきた『仕立館』に行ってみましょうか。ちょっと不思議な内装なので、そちらも楽しんでいただければ(笑)。

◆お菓子も“オーダーメイド”する『クチュールベイク』

そういって本平さんが案内してくれたのは、路地裏にある老舗のオーダーメイドスーツ専門店『仕立館』。東京に本社を構える同店の支店として1940年に武蔵小杉の駅前に誕生。しかし、本社が戦災で焼失してしまったため、武蔵小杉の支店を本店として営業してきました。そして4年前、カフェ『クチュールベイク』との複合店というスタイルで、現在の場所へ移転してリニューアルしたのです。

村上さん
外観は完全にカフェですね!

村上さん
え!? 店内はカフェとスーツ屋さんが一緒になってる!

「珍しいですよね」と笑うのが『クチュールベイク』店長の大久保知子さん。

大久保さん
実は、『仕立館』は義父の店で、移転のときに『クチュールベイク』を併設したんです。『仕立館』ではスーツ、『クチュールベイク』はオリジナルクッキーと、どちらも「オーダーメイド」というコンセプトなんですよ。
本平さん
世界的にも例を見ない組み合わせかも(笑)。オーダーメイドのクッキーとはどんな商品なんでしょうか?

大久保さん
オリジナルのサブレにアイシングでメッセージをお描きする「クチュールクッキー」(350円・税込)です。
村上さん
かわいい~! 好きなメッセージを入れてもらえるんですか?
大久保さん
はい、お名前やメッセージを無料でお入れします。ほかにも、プラス100円で持ち込みのデザインをお描きすることもできますよ。
本平さん
贈り物に喜ばれそうですね。これまでに思い出深いオーダーってありましたか?

大久保さん
どのご依頼も思い出深いですが、幼稚園の男の子が、バレンタインに好きな女の子からうちのクッキーをもらって、ホワイトデーのときに、その女の子の名前入りでクチュールクッキーをお返ししたいとオーダーいただいたのは、かわいらしかったですね。
村上さん
素敵なエピソード! 商品は店内でいただくこともできるんですね。

大久保さん
はい。常時パウンドケーキとタルト各2種類ずつのケーキ4種、クッキー6種をご用意しています。ケーキは季節によってお味も変わるんですよ。
村上さん
どれもおいしそうで選べない!
大久保さん
それなら、ケーキとクッキーを2種類ずつに、コーヒーか紅茶のついた「よくばりアソート」(1,100円・税込)はいかがですか? ケーキとクッキーは、お好きなものを選んでいただけますよ。
村上さん
本当によくばれちゃいますね(笑)。じゃあ……ケーキは「レモンとアーモンドのタルト」と、「チョコチップのパウンドケーキ」にします! 私、チョコレートが大好きなんです。

村上さん
どちらも味が濃厚ですごくおいしいです!

本平さん
コーヒー(550円・税込)もコクがありますね。
大久保さん
コーヒーは、生豆を数十カ月寝かせてから丁寧に焙煎したエイジングコーヒーなんです。朝入れて、オーダーまでさらに寝かせることで、より深みとコクを出しています。
村上さん
ここは『仕立館』のお客さん専用の場所かと思いましたが、カフェだけの利用もできるんですね。
大久保さん
ご家族でスーツを作りに来られて、旦那様の採寸中などに奥様とお子様が利用されることもありますが、ご近所の方やマンションのママさんたちなど、幅広い世代の方が普段使いしてくださっています。
本平さん
この4年で武蔵小杉の変化などは感じましたか?
大久保さん
やはり年々若い世代のお客様が増えているなという印象はありますね。このあたりは昔からの街並みが残るエリアなので、お客様を通して、新旧両方の良さを感じられます。
村上さん
武蔵小杉は新しい街だと思っていたのですが、昔ながらのお店もあって、いろいろな楽しみ方ができる街なんですね。

 

◆武蔵小杉を見つめ続けて78年。オーダーメイドスーツ専門店『仕立館』

場所を隣へ移して、今度は『仕立館』へ。社長の大久保重臣さんと店長の渡辺さんが再開発前の武蔵小杉のようすについて教えてくれました。

本平さん
普段スーツを着る機会の少ない僕でも、オーダーメイドは憧れます。こうしてじっくりみると、やっぱり生地の質から違いますね。でも、3万円台のスーツもあって、思っていたよりお手頃かも。
村上さん
生地の種類もたくさんあるので、自分好みのものがつくれちゃいますね。

渡辺さん
生地だけでなく、デザインやスタイルなどもすべてお好みに合わせておつくりしますよ。過去にはハリウッドスターの写真をお持ちになって、「こんなスーツが欲しい」と来られたお客様もいましたね。体型の変化に合わせてつくりかえるなど、地域の方々と長いお付き合いになることも多いので、どことなく美容院に似ているのかなって思います(笑)。
本平さん
確かに!そういえば、前回の東京オリンピックの衣装も作られていたんですよね。80年近くこの街で営んでこられて、長いお付き合いのお客様もいて。再開発前後で何か変化は感じましたか?

大久保さん
そりゃ大変な変化ですよ(笑)。以前はあたり一帯野原で、カエルが鳴いていたんですから。
村上さん
今の武蔵小杉からは想像もつきませんね。
大久保さん
そうでしょう。武蔵小杉駅の前身は、500メートルほど離れたところにあった「工業都市」という駅でね。昔このあたりは軍事工場なんかもあったし、中小企業向けの団地も多かったんです。当時を思うとかなり便利になりましたよ。
本平さん
武蔵小杉駅は、乗り換えなしでアクセスできる駅が220以上あるんです。これからもっと増えていく予定だし、さらに便利になっていきますよ。
村上さん
お店も充実していて、何でも揃っちゃいますしね。またまた住みたい欲求が湧いてきちゃいました!
『クチュール ベイク』 住所/神奈川県川崎市中原区小杉町3-4−3 Maison Plaire KOSUGI 1F
電話番号/044-455-4001
営業時間/11:00〜18:00
定休日/水曜
http://couture-bake.com/wp/ https://www.instagram.com/couture.bake/
『仕立館』 住所/神奈川県川崎市中原区小杉町3-4−3 Maison Plaire KOSUGI 1F
電話番号/044-722-2901
営業時間/10:00〜19:00
定休日/水曜
http://www.shitatekan.com/

◆最後に

本平さん
武蔵小杉はいかがでしたか?
村上さん
最初はオシャレな街という印象しかなかったのですが、少し歩けば、昔ながらの親しみがもてるお店がいっぱいあるんだとわかってよかったです。入ってみたら面白いお店とか、まだまだありそうですもんね。
本平さん
ぜひまたゆっくりと散策してみてください。素敵なお店がたくさんありますよ!

 

■本日紹介しきれなかった武蔵小杉のおすすめ店

今回伺った場所以外にも武蔵小杉には新旧含めて素敵なお店が点在しています。最後に取り上げきれなかったおすすめ店舗をいくつかご紹介します。

■麺や でこ

住所/神奈川県川崎市中原区小杉町1-520-6
電話番号/044-819-8767
営業時間/平日11:30~15:00、18:00~21:00 土日祝11:00~15:00、18:00~21:00
定休日/火曜日
http://my-deco1.com/

煮干しそば専門のラーメン店。新丸子駅徒歩3分の位置にあり、武蔵小杉からのアクセスも可。昨年11月に、それまで主体にしていた「鶏白湯」から「煮干しラーメン」にスープを変更して話題に。

■文福 本店

住所/神奈川県川崎市中原区新丸子町915
電話番号/044-711-3688
営業時間/17:00~23:00
定休日/年末年始

40年以上の歴史を誇る老舗の串焼店。創業当時から変わらない製法で作り続けてきたカレー味のモツ煮込みが定番の人気メニュー。

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