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トイレのリフォームは浴室や洗面室とまとめて行うとお得?

トイレをはじめとする水回り設備は、15~25年くらいが見直しの目安といわれています。劣化の程度は使用状況によっても異なりますが、使いにくさを感じたり、汚れが落ちにくくなったり、故障などの不具合が目立つようなら、リフォームを考える時期かもしれません。このとき、キッチンや浴室、洗面室などもいっしょにリフォームすると、個別に実施するよりも費用を抑えられるのでおすすめです。
そこでリフォームのプロである、三井のリフォーム Kさんに、トイレを中心に水回りリフォームを行うメリットや工事例、費用感、工事の流れを解説してもらいつつ、トイレのリフォームに適用可能な補助金や減税制度まで紹介します。

三井のリフォームK

三井のリフォームで営業と工事担当を合わせて14年、戸建てやマンションなど、数多くのリフォームに携わってきたリフォームの経験者。

なぜ、水回り設備は15~25年が見直しの目安といわれるのでしょうか?

トイレやお風呂、キッチンなどの水回り設備は、15~25年程経つと、部品の経年劣化によりトラブルが起こりやすくなったり、家族構成の変化で使い勝手が変わったりするためです。具体的には、次のような問題が起こってきます。

部品の劣化による不具合が起こる

15~25年程経つと、水栓やシャワーからの水漏れやトイレの温水洗浄便座の故障、洗面ボウルのひび割れ、浴室のコーキング(防水処理)の劣化など、部品が傷んだことによる不具合が増えてきます。これは給排水管も同じで、以前よく利用されていた銅管や鉛管は漏水リスクが高まっている可能性があるので、新しい配管と取替える更新工事をおすすめします。

汚れやカビが目立つ

高温・多湿になりやすい浴室やシンク下などはカビが発生しやすいところです。きれいに落としたと思っても、見えない部分にカビの根が残っており、再び発生してしまうことが少なくありません。また、毎日のように掃除をしていたとしても、時間が経った便器や周辺の汚れはどうしても気になるところです。

家族のニーズが変わる

家族構成や年齢の変化によって、水回りの設備に対するニーズは変わります。ヒートショック対策として浴室や洗面室を温められる機能が欲しい、2世帯同居する上で2階にもトイレが欲しいなど、状況の変化に合わせた設備が必要です。トイレでは、扉を引き戸に変える、手すりをつけるといったバリアフリーのニーズに合わせた改修が求められるケースが増えてきます。

水回り設備の中でも、トイレのリフォームにはどのようなメリットがありますか?

トイレをリフォームするメリットは、以下の6点が挙げられます。トイレの技術的な進化はめまぐるしく、最新の設備に変えることで、より快適な生活を送れることは間違いありません。
6点のうちひとつでも該当するものがあるようでしたら、ぜひ一度ご検討ください。

トイレが快適になる

これまで使っていたトイレのタイプにもよりますが、例えば、和式から洋式へ変えたり、暖房機能や温水洗浄便座をつけたりすることで、トイレタイムは格段に快適になります。タンクレスに変えて、すっきりとした印象のスペースにすることも可能です。

節水、節電仕様なので光熱費が安くなる

トイレを流す際に使用される水量は、年々改良が重ねられ徐々に少なくなってきました。1970~1980年代の製品は1回あたり12~16L程必要でしたが、1990年代には8~10L程になり、2000年代には大で6L、小で4.5L程になりました。2022年現在では大3.8L、小3Lという製品も出ており、13L必要な製品と比べれば、契約している水道局にもよりますが、4人家族で年間1万5,000円以上の水道代を節約できる計算になります。また、電気についても、待機時の保温電力を抑える機能を搭載したトイレを使うことで、温かさや快適さは維持しながら電気料金を節約することが可能です。

汚れがつきづらく掃除も楽

最近のトイレは、汚れが溜まりづらいフチなしの形状が主流です。また、凹凸や隙間が少ないので、従来品に比べて掃除の手間がかかりません。汚れがつきにくい素材やメーカーごとに工夫を凝らした洗浄方法も備えており、防汚性は非常に高くなっています。

においを抑えてくれる

最近のトイレには脱臭機能もついているので、トイレに嫌なにおいがこもることもありません。脱臭機能には、排便時に稼働するものと、継続稼働してにおいの元となる菌を除菌して消臭するものの両方が備えられています。

トイレを広く使える

コンパクトなトイレに交換したり、収納棚を設置したりするほか、間取りや引き戸への変更といったリフォームをすることで、トイレを広く使えるようになります。車いすでの利用や介助を想定した広いトイレにすることも可能です。

配管の劣化のチェックや更新ができる

トイレのリフォームは、給排水管の劣化状況のチェックや配管の取替えを行ういい機会になります。配管を含む水回りの工事を一度で済ませることができれば、複数回に分けて行うより費用を抑えることができるとともに、古い配管をできるだけ残さずに更新できるので漏水リスクの軽減にもつながります。

トイレのリフォームには、どれぐらいの費用がかかるのでしょう?

リフォームの内容やどんな便器を選ぶかにもよるので、一概にはいえません。便器のみの交換であれば数万~50万円程、便器の交換と内装のリフォームを合わせると50万~80万円程になることが多いです。

また、一口にトイレのリフォームといっても、いろいろなパターンがあり、以下のような工事になることがほとんどです。便器だけの交換や壁紙や床の張替え、手すりの設置であれば比較的簡単ですが、増設や移設、手洗いカウンターの追加など配管に関わる工事になると工期や費用も増えていきます。

<リフォームのパターン>

・和式から洋式への変更
・便座の交換のみ(洋式から洋式)
・便器の交換+壁紙・床の張替え
・便器の交換+壁紙・床の張替え+手洗いカウンターや棚の設置
・便器の交換+バリアフリー(間取り変更、引き戸、段差の解消、手すりの設置)
・トイレの増設
・トイレの移設

トイレ本体の価格は数万~50万円前後と幅広く、基本的にはタンク付きよりタンクレスタイプのほうが高くなります。また、フタの自動開閉や便座暖房の自動オン・オフ、自動洗浄など、多くの機能を備えているタイプほど、価格は上がっていきます。

トイレや水回りのリフォームの工期はどれくらいになりますか?

工期はリフォームする部分や内容によって変わります。おおよその目安と工事の流れは以下のとおりです。

■トイレのリフォーム工期

内容 工期
便座の交換のみ 半日
便器の交換(洋式→洋式) 半日~1日
便器の交換(和式→洋式) 2~3日
内装のみリフォーム 1~2日
便器の交換+内装を一新 1~2日
トイレの移動や新設など配管の変更を伴う場合 1週間ほど(ケースによって異なります)

トイレのリフォーム工事の流れを教えてください

トイレのリフォーム工事は次のような流れで行うのが一般的です。
各パートで注意したいことと合わせて確認してください。

1 大まかなリフォーム内容を決め、設置するトイレを選ぶ

まず、便座だけを交換したいのか、便器の交換と内装の変更をセットで行いたいのか、ほかの水回りとセットでリフォームするのかなど、大まかなリフォームの内容を決定します。メーカーのWebサイトやカタログ、ショールームなどを見て、設置したいトイレやほかの水回り設備の目処をつけます。価格や機能だけでなく、メーカーごとの特徴やサイズ、形にも注意して選びましょう。

2 見積依頼

リフォーム内容を決めたら、リフォーム業者に見積もりを依頼します。担当者と話し合い、現地調査の日程を決めます。

3 現地調査と見積提出

見積もり依頼をしたら、業者が自宅を訪れて現地調査を行います。現地調査が必要なのは、希望どおりの工事が可能かを確認して、正確な見積もりを出してもらうためです。トイレの排水方式や給水栓の位置、コンセントの位置、広さなどから、希望どおりの工事ができないこともあるため、先に確認する必要があります。現地調査が終わると、業者から工期や費用の見積もりが提出されます。

4 検討

見積もりを受け取ったら、内容を検討します。概算だけでなくきちんと内訳が記載されているか、合計金額は合っているか、納得できる金額かなどをチェックしましょう。予算を超えているようであれば、削れる部分やグレードを落とすことで対応可能かどうかを検討します。

5 契約

見積もりの内容や業者の対応に納得できれば、契約を行います。後でトラブルにならないように、契約書の内容はしっかり読みこんだうえで、質問をして不安要素を解消してから契約するようにしましょう。

6 設計

契約後、担当者と設計や工事日程についての打ち合わせを行います。この過程で設備や設計の変更が発生する可能性もあり、それによって予算が変わることもある点には注意してください。いずれにしろ、何度も話し合って納得のいく設計にすることが大切です。

7 工事前準備

工事当日までに、リフォームする範囲に置いてある掃除道具などの小物を別の場所に移動しておきます。トイレットペーパーの予備、芳香剤なども移動し、ペーパーホルダーや便座カバーなどもできる限り外しておくようにしましょう。また、工事期間中のトイレをどうするか検討しておくことも大切です。

8 工事

工事の際には、周囲を傷つけないように養生作業を行い、続いて便座の撤去や解体、床やクロスの張替え、新しいトイレや配管の取り付けという順で進んでいきます。なお、工事中は自宅のトイレが使えないので、マンションであれば管理人室のトイレ、戸建ての場合は商業施設や公共施設のトイレなど、借りられる場所を押さえておきましょう。

9 引き渡し

工事が終了すると、発注者立ち会いのもと、トイレが正しく動作する確認を行います。すべて問題なければリフォームは完了です。

トイレのリフォームを行う際、ポイントや注意点はありますか?

注意したいのは、「予算と機能のバランス」、「便器の大きさ」、「ドアの開き勝手」、「床材の選定」、「配管経路の確認」「換気扇の交換検討」「アクセサリーの設置および収納関係」「マンションの管理規約の確認」、「ほかの水回りのリフォームも検討する」の9点です。それぞれ詳しく紹介しましょう。

予算と機能のバランスを考える

トイレ本体の価格は数万~50万円前後までさまざまですが、節水性能に関してはさほど大きな違いはありません。違いがあるのは機能面で、価格が高い物ほど「脱臭」「泡洗浄」「音漏れ防止メロディー」「自動開閉蓋」といった便利な機能を備えています。そのため、トイレ本体を交換する際は、予算と機能のバランスを考えて選ぶことが大切です。

便器の大きさに注意する

新しく選んだ便器が以前の物より大きいと、トイレが狭くなってしまうことがあります。便器を選ぶときは、これまで使用していた便器のサイズをしっかり測り、新しい便器と比較して十分なスペースが確保できるか、便器が大きくなったことでドアが開かないようなことがないかといったことをチェックしてください。数cmの違いであっても、毎日使うためストレスなく使えるサイズを選ぶことが大切です。

ドアの開き勝手の検討

ドアが内開きの場合、トイレの中の設備との干渉や十分なスペースがとれるかどうかをしっかり確認しましょう。また外開きの場合も開けたときの導線への影響や干渉するものの有無を確認することも大切です。開き勝手に合わせて、手すりや手洗いの位置関係も十分に検討する必要があります。

床材の選定の仕方

トイレは基本的に水気がある空間なので、クッションフロアや塩ビタイルといった水に強い材料を選ぶことが大切です。フローリングを採用するケースもありますが、メンテナンス面を考慮すると、あまりおすすめできません。

配管経路の確認

普段は見えませんが、どのように水を給排水しているかという配管経路を知ることは、生活をしていくうえで重要になります。特に排水の経路はよく確認してください。マンションでは床ではなく壁に向けて排水する「壁排水」を採用していることがあり、この場合は「壁排水対応のトイレ」と交換する必要があります。

換気扇の交換検討

トイレを変える際に換気扇も併せて交換することもおすすめです。換気扇は機械ですから、いずれ交換の時期がやってきます。調子が悪くなってから交換するよりも、まとめて交換したほうが工事の期間や費用面に優れています。換気扇にはトイレでの単独換気扇と、洗面室と一緒になっている2室換気扇などの種類がありますので、業者に相談をしてベストな換気扇を設置してください。

アクセサリーの設置および収納関係の検討

トイレの紙巻き器、タオル掛けといった備品の交換や新設も検討すると良いでしょう。新しいトイレとの位置関係を見直したり、スマートフォンが置ける棚付きのものを導入したりすると、使い勝手が大きく変わるからです。また、掃除道具やペーパー類を保管する収納も、これからの使い方に合わせて計画することでトイレをすっきりと便利な空間にできます。

マンションの場合は管理規約の確認が必要になる

マンションでは、管理規約によってリフォームの範囲に制限が設けられていることがあります。設備交換に関する規約をしっかり把握し、その範囲内でリフォームするようにしましょう。なお、トイレを移設する場合は下の階の部屋との位置関係も考える必要があります。

ほかの水回りのリフォームも検討する

トイレや浴室、洗面室、キッチンなど水回りのリフォームは、個別に行うより、まとめて行ったほうが費用の節約と工期の短縮につながります。また、どこかの給排水管から水漏れがあった場合は、給排水管が交換時期を迎えているサインです。トイレ(便器)だけをリフォームしても古い給排水管が残ってしまう部分があるので、将来トラブルが発生する可能性が高くなります。排水管の交換やメンテナンスを同時に行うことも、ぜひ検討してください。

トイレと浴室や洗面室、キッチンをいっしょにリフォームすると、どんなメリットがあるのでしょう?

人や資材を効率的に動かせるので、個別にリフォームした場合に比べ、人件費や資材の搬入にかかる費用を安く抑えられるのが最大のメリットです。また、同時に複数のリフォームを進められるため、全体の工期は個別に行う場合より大幅に短縮できます。
養生の手間が一度で済むこと、工事によって発生する産廃処理が効率良く行えること、広範囲の配管を更新できることも見逃せません。さらにインテリアや雰囲気も統一でき、「きれいになったトイレと元のままの浴室や洗面のギャップが大きく、違和感がある」といったこともなくなります。

トイレや水回りのリフォームで利用できる補助金や税制優遇制度はありますか?

リフォームの内容によっては、介護保険や地方自治体の補助金などが利用できる場合があります。代表的なものとして、手すりの取り付けなどだけでも利用できる介護保険、自治体の補助金や助成金、そしてトイレ以外の部分をいっしょにリフォームした場合に利用できる可能性がある「こどもみらい住宅支援事業」が挙げられます。

介護保険

要介護認定を受けている被保険者が、介護のための住宅リフォームを行う場合、介護保険により住宅改修費の9割相当が支給されます。最大支給額は20万円で、受取額は介護保険制度の自己負担割合1~3割を除いた分となるので、14万~18万円になります。
なお、既存の洋式便器を高さの合う(使いやすい)便器に取替える工事は対象になりますが、洋式便器を暖房や洗浄機能のついた洋式便器に取替える工事は対象外ですので注意してください。

自治体の補助金・助成金制度

居住地と工事内容によっては、自治体独自の補助金や助成金制度を使える場合があります。対象となる工事は、「省エネ」「介護」「2世帯同居対応」「子育て世帯向け」など自治体によってさまざまなので、居住する自治体の制度をチェックしてください。例えば、東京都足立区の「住宅改良助成制度」の場合、最大30万円が支給されます。

こどもみらい住宅支援

こどもみらい住宅支援とは、子育て世帯・若者夫婦世帯が高い省エネ性能を持つ住宅を新築した場合や、世帯を問わず省エネリフォームを行った場合に、一定の条件を満たすと補助金が受給できる制度です。申請者は建築業者や宅建業者となり、一般消費者はこれらの事業者から補助金の還元を受けることになります。居住中の住宅のリフォームであれば、最大45万円が支給されます。

税金の控除・減額

適用要件を満たすリフォームを行った場合、所得税の控除や固定資産税の減額が受けられます。

・所得税の控除
所得税の控除には、「投資型減税」「ローン型減税」「住宅ローン減税」の3つがあります。投資型減税はリフォームローンを利用したかどうかにかかわらず利用できます。耐震、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化の5つの工事が対象です。ローン型減税はローンの償還期間が5年以上の場合に利用でき、住宅ローン減税は償還期間10年以上のローンを利用した場合に利用できます。いずれも、確定申告を行うことで、所得税が控除されます。

・固定資産税の減額
令和4年度国土交通省税制改正により「既存住宅の耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化リフォームに係る特例措置」が延長され、耐震、バリアフリー、省エネ、長期優良住宅化リフォームの条件を満たすリフォームを行った場合、固定資産税が減額されます。工事完了後3ヵ月以内に申告することが条件で、決められた家屋面積相当分まで固定資産税額が減額となります。減額の割合は、耐震工事が2分の1、バリアフリーと省エネ工事が3分の1、長期優良住宅化工事が3分の2です。

リフォームに関する補助金や減税制度について、詳しくは「知らないと損?リフォームするなら補助金や減税制度をチェック!」をご参照ください。

トイレのリフォームは他の水回りといっしょに行うのがおすすめ

トイレを中心とする水回りは毎日使う場所だけに、心地いい空間になっているかどうかで、生活の満足度が大きく変わります。最新のトイレは、エコ仕様で環境への負担が小さかったり、汚れがつきづらくて掃除が楽だったりするなど、多くのメリットがあるため、現在のトイレに不便を感じるようならリフォームを検討するのがおすすめです。

また、浴室や洗面室、キッチンなど、ほかの水回り設備とセットでリフォームすれば、インテリアや雰囲気をきれいに統一できます。このとき、トイレの空間を広げる、扉を開けやすい引き戸に変える、バリアフリー化するなど、間取り変更を伴うリフォームや介護・老後のことを考えたリフォームも一度に行ったほうが効率的です。そして、古くなった配管の更新も同時に行うことで漏水のリスク回避にもつながります。トイレだけを変えるよりも費用は大きくなりますが、いずれ必ず交換時期が来る設備です。個別に交換していくよりも費用や工期を抑えられますから、一緒にリフォームするメリットは十分あるでしょう。

古くなったトイレの改修を考えるときは、自宅の水回り全体を見直すチャンスです。これからの生活を見据えたリフォームを考えてみてください。

三井のリフォームでは、トイレの改修をはじめ、さまざまなリフォームのご相談に応じております。
ぜひ、三井のリフォームへご相談ください。

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