やり過ぎハウス | もはや観光スポット! 街全体がクリスマスの光に包まれる、イルミネーションの「やり過ぎハウス」
街ぐるみのクリスマス・イルミネーションは「ニレの木」がきっかけだった。
Chapter.01
ビーチに近い閑静な住宅街に建つヘイグさん宅。白とグレーを基調としたコテージ風の木造家屋だ。道路から見ると、一見、平屋造りに見えるが、一段下がったバックヤード側に向け、階下を増築した5ベッドルームの大きな家で、敷地内にバスケットボールコートもある。まわりには同じく個性的な家が建ち並び、それぞれのフロントヤードには、青々とした手入れされた芝生が広がっている。
住宅街にはカリフォルニアのシンボルともいえるパームツリーはさほど見当たらず、そのかわりに立派なニレの木が、広い道の両脇に続いている。「このニレの木は、トーランス市が1946年に植えたものなの」と語るのは奥様のローリーさん。「ニレの枝って、低くって大きく横に広がっているでしょう。だからそこにイルミネーションをつけたらシャンデリアみたいで綺麗じゃないかっていう男性がいたそうで、それがこの辺りのクリスマス・イルミネーションの始まりだといわれているのよ」
クリスマス・イルミネーションは街をあげての一大イベント
Chapter.02
クリスマスが近づくと、閑静な住宅街であるキャンディーケーンレーン(赤白のステッキ通り)と呼ばれているトーランスの一角は、一気に活気づく。住人たちは、自宅をクリエイティブに飾り付けようと励み、並木には市から委託されたライティングの専門業者が慣れた手つきでライトを取り付けていく。まさに街をあげての一大イベントで、“一生懸命に遊ぶ”のが得意なカリフォルニアの人たちならではの光景が生まれるのだ。
住人たちがここまで力を入れてイルミネーションに取り組むのは、自分たちが楽しみたいという理由だけではない。ライトアップが行われる期間内は、HOAと呼ばれるホームオーナーの組合が街中をまわり、最も優れたイルミネーションの家に賞を贈るのだ。遊び心のある小さな賞だが、地元の人々にすれば大きな名誉なのである。
クリスマス・イルミネーションは家族の絆を強める?
Chapter.03
ヘイグ家でも、11月後半に入るとクリスマスの準備が始まる。普段は屋根裏部屋に仕舞ってあるイルミネーション用品一式から、お気に入りを探すご主人のジェロームさん。手に取る飾り付けのひとつひとつに長年の家族の歴史があり、思い出話は尽きない。「子どもたちがまだ小さかった頃は、飾り付けをしながら二人の喜ぶ顔を見るのが一番うれしかった」と目を細める。
家の中心であるリビングルームは東向きで明るく、開放感に溢れている。そこはいつも家族が集まる場所で、毎年恒例となっているクリスマス・イルミネーションの飾り付けの新しいアイデアを話し合う場所でもある。そんな楽しい団らんが家族の絆を一層強めているようだ。
イルミネーションを通じて育む家族と地元への愛情
Chapter.04
昔からヘイグ家のクリスマス・イルミネーションには、変わらないひとつのテーマがあるが、そのテーマとは「冬」。クリスマスなのだから「冬」は当然のテーマと思われるかもしれないが、南カリフォルニアは季節に関わらず大抵の日が晴れていて、冬でも昼間であれば薄手のシャツ一枚で快適に過ごせてしまう。雪なんて山にでも行かない限り降ることはない。そういった気候のせいで、冬に対する憧憬のようなものが強く、クリスマス・イルミネーションで冬景色を演出したいと思うようになったのだそうだ。
「今年はミラーボールで吹雪を再現するのよ」と子どものような笑顔で話すローリーさん。家の前の木にミラーボールを吊るし、光を当てて家の壁に反射させて、雪が舞っているように見せるのだそうだ。人をびっくりさせるような、斬新なアイデアに溢れる彼女はアーティスト肌のようで、家をリフォームした際のインテリアデザインや設計も、彼女がほぼ手がけたという。そんなローリーさんをいつも笑顔で手放しにほめるジェロームさん。まさにアメリカの古き良き、家族愛に溢れるファミリーだ。
スノーマンの人形を芝生の上に設置するローリーさんに、道行く人が次々と声をかけていく。ローリーさんは手を止めて笑顔で応え、子どもの学校や週末の出来事などを話している。この街では普段からご近所との交流が深いが、それが一層深まるのがクリスマス前なのだという。「みんな表に出て作業をしているでしょう。だからおしゃべりする機会が増えちゃって、飾り付けが全くはかどらないの」と笑う。この街の良いところは、近隣の人々とも、家族のような付き合いができることだそうだ。
華やかな眩い光の影には試行錯誤と苦労が……
Chapter.05
クリスマス・イルミネーションのベテランのようなヘイグさん一家だが、イルミネーションをするようになった当初はいろいろと苦戦したそう。強い雨や風のせいでライトをつなぐコードが切れたり、家の電気とイルミネーションの電源を一緒にしていたせいでヒューズが飛んだり……。そういった失敗談も今では笑い話で、楽しい家族の思い出だ。トラブルの経験から、7年前に自宅をフルリノベーションした際には、イルミネーション専用の配電盤を増設し、屋外にたくさんのコンセントを備え付けたというのだから、その意気込みは並大抵ではない。
毎年キャンディーケーンレーンのクリスマス・イルミネーションの知名度は上がっていて、12月に入ると、光に彩られた街を一目見ようと、多くの人が車でやって来る。そのためひどい渋滞が続くのだという。普段は1分もかからない大通りまでの道のりも、渋滞で全く動かなくなり、時には1時間近くかかることもあるそう。まさにテーマパークのような混み具合で、ゴミ問題や騒音問題も持ち上がっているのだとか。酔った観光客が柵に登って庭に侵入しようとしたこともあり、今年は警察署と消防署が積極的にセキュリティに力を入れるという。ヘイグさん宅でもイルミネーションが盗まれたことが2度もあるそうだ。また年々テレビのニュースで取り上げられる機会が増えているため、ここ数年はフードトラックなどが違法営業するなどの問題も発生するほどである。
そういった苦労があるにもかかわらず、やはりクリスマス・イルミネーションに取り組むのは心から楽しいと、この街の人はいう。訪れた人々が目を輝かせてイルミネーションに見とれたり、子どもたちが歓声を上げたり、クリスマスというマジカルタイムならではの光景を目にすると、幸せな気分になるのだという。
クリスマス・イルミネーションは楽しむことがもっとも大切
Chapter.06
ヘイグさんに、これからクリスマス・イルミネーションを始める人たちへのアドバイスを聞いてみた。以下の5つのことだそうだ。
・テーマをしっかり決めること。
・小規模から始めること。
・慣れてきたら少しずつ大きなものにトライすること。
・家族みんなで準備と飾り付けをすること。
・ストレスをためないで純粋に楽しむこと。
特に飾り付けを“楽しむ”ことは、仕上がりを左右する重要なポイントなのだそう。家族みんなが楽しんでイルミネーションに取り組むヘイグ家には、5年間連続で訪れる観光客がいるという。その観光客はヘイグ家のイルミネーションの前で写真を撮り、毎年のクリスマスカードにしているそうで、「我が家をわざわざ選んでくれたことがとてもうれしい」と、ローリーさん。クリエイティブな喜びの中に、人との交流の素晴らしさも教えてくれるのがクリスマス・イルミネーションだともいう。これからもライフワークとして続けていきたいと微笑む。
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