—ご夫婦の馴れ初めを教えてください。
伸三さん
最初に勤めた設計事務所で、男女数人で牧場へ出かけたときです。
好美さん
私の友人がその会社で働いていてね。でも、そのときはほとんど話しませんでした。
伸三さん
帰りの電車で一緒のボックス席に座って、少し話したくらいだね。
好美さん
それから、グループでご飯やお茶を飲みに出かけて、だんだん二人で会うようになって……。よくあるパターンですね(笑)。
お店を始めた当時の平岡さんご夫婦
—お店を始めたきっかけはなんですか?
伸三さん
建築やデザインの仕事をここでやっていたんだけど、電話がないと仕事が来ないからね。それで、大好きなコーヒーのお店をやりながら、仕事をやってもいいかなって思って始めたよ。
好美さん
私も喫茶店が好きだったから、反対はしませんでした。結婚する前からずっと喫茶店を始めたいって言っていましたからね。
伸三さん
始めた当時は、不安も特になかったね。自分の空間を作れるってことが、おもちゃ箱をいじっているみたいで楽しかった。
好美さん
お互いのやりたいことの一つでもあったからね。

—一日の業務の流れを教えてください。
伸三さん
掃除のために8時半にはお店に来て、クリーニングと仕込みを開店の10時までに終わらせるようにしています。
好美さん
私は午前中に家のことを済ませて、午後からお店に来ます。神楽坂は観光地なので、14時過ぎからお店が混んでくるからそれまでに来るようにしています。
伸三さん
そのあと、息子が18時に来て、お店が閉店する23時まで店番をしてくれますね。最近は隣のスペースで土日・祝日限定で息子夫婦がお店を始めたんです。ときどき、ワークショップや演劇、落語会などのイベントも開催していますよ。
—それぞれの作業分担を教えてください。
伸三さん
カウンターの真ん中で分けて分担しています。僕は基本的に主となるコーヒーと発注作業を担当していますよ。
好美さん
私が奥でケーキやトーストなどフードを作っています。
伸三さん
あとは、忙しくなってきたら、その都度お互い助け合いますね。長年夫婦でお店を営んでいると、「手伝って」なんて言わなくても助け合うのが当たり前になってくるんです。
好美さん
ほかのお店とかはマニュアルみたいなものがあると思いますけど、私たちはお互い飲食店で働いたことないからね。
伸三さん
マニュアルがないのが逆にいいのかも。


—お店のこだわり、おすすめのメニューはなんですか?
伸三さん
店内の照明は廃材を利用して、温かみのあるオレンジ色の光に。木造の机はDIYで作ったもの。そのままの形で使って味のある内装にしています。
好美さん
お店のおすすめはコーヒーとチーズケーキです。お客さんに出すまでの時間をできるだけ短くして、コーヒーは新鮮な豆で出すように心がけていますね。
伸三さん
コーヒーに合うのはチーズケーキって考えがあって、喫茶店の定番メニューにしています。昔からあるものは続いているからこそ、それなりの良さがありますからね。すべて手づくりだから仕上がりに変化があるけれど、工場みたいに一定の物がでるよりは、日によってムラがあってもいいと思うんですよね。

Aブレンド(香りと酸味)¥550、チーズケーキ¥500