—それでは、お店のことやお二人のこと、もう少しお伺いさせてください。まず、お二人の生い立ちは?
二雄さん
僕は高校卒業後、山形から東京に出てきてガソリンスタンドで働いていました。お客さんで来ている美容師の人と話していたら憧れて、働きながら専門学校に通って美容師になったね。それからいろんなお店を転々として、ここに自分のお店を持つようになったよ。
和枝さん
私は千葉県の野田市出身で、洋服店の娘でした。姉がお店を継いでくれたので、私は生命保険会社に勤めました。だけど、美容師に憧れがあって会社を辞めて退職金を使って、美容専門学校へ。卒業後はお店を何店舗か経験して銀座のお店へ行きました。
—お二人が出会ったきっかけはなんですか?
二雄さん
彼女と僕が働いていたお店は系列店でね。僕が働いていた銀座店は日曜が休みだから、彼女の駒形店によく手伝いに行っていたんだよ。
和枝さん
彼は顔がイマイチだったけど、やさしくてね。私が銀座のお店でいじめられているときも助けてくれたの!
二雄さん
当時の彼女は痩せていたから、最初は中学生が入ってきたのかと思ったよ(笑)。
和枝さん
あのとき、この人はパチンコ三昧だったのを私が救ってあげたのよ(笑)。

—一日の業務の流れを教えてください。
二雄さん
うちのお店は9時〜19時まで営業しているから開店の15分くらい前に来て、植木に水をあげたり、掃除をしたりしてお客さんを待っているよ。
和枝さん
お客さんはお年寄りの方が多いこともあって、朝早くからお客さんがバタバタ来ないから、のんびり準備をしているわ。その後、私は晩御飯の支度のために17時頃に帰ります。
二雄さん
僕はその後タオルを洗ったり、掃除をしたり、片付けをして20時頃にお店を出るね。美容組合や環境衛生などいろんな活動しているから、月に3回くらい早めに閉めちゃうこともあるよ。お客さんとは長い付き合いだからそういうワガママも聞いてくれるね!


—お店で意識していることは?
二雄さん
商売だけど全面に出さずに温かい空気を出すように心がけているね。
和枝さん
お年寄りの方って、家だと喋りたくてもあまり話せないみたいで……。ここならずーっと話せるから、2時間半ぐらい話しているときも。それを聞くのも仕事だし、みんながオアシスのように思ってくれるのは嬉しいね。
二雄さん
ここで話しても他の人に流れることもないし、安心してくれるのかな?
和枝さん
誰かが話したことを絶対に他の人に言わないもんね!

—相手の頼りになるところは?
二雄さん
うちの子どもは年子で生まれたからね。ちょうどお店のオープンとも重なっていたのに、世話をしながら家事も仕事もこなしていて、彼女はすごいと思いますよ!
和枝さん
彼はお客さんのウケもいいし、お客さん第一にしているところが尊敬できますね。そのおかげで、今までお店が存続できたんだと思います。あと、周りを大事にしながら、私のことも大事にしてくれます。
—お店を営んでいて嬉しかったことは?
和枝さん
遠くに引っ越した後でも来てくれるお客さんですね。もちろん、別のお店にも行っていると思うけど、それでもまたうちのお店に戻ってきてくれるのはとても嬉しいですね。
二雄さん
あとは、お客さんからの反応がいいとき。「どこで切ってもらったの?」って友だちに聞かれたとか。もちろん僕も嬉しいけど、言われた本人も嬉しいんだと思いますね。
