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Tokyo go my own way | ゲイカップル たぁ坊さん / さゝめさん
付き合い始めたきっかけは?
Question.01
さゝめ さん
新宿2丁目で、もともと知り合いだったよね。でも、当時はお互い恋人がいたから、ずっと知り合いというか、友だちみたいな感じで。
たぁ坊 さん
しばらくそんな関係だったんですけど、僕に新しい恋人ができたときに、彼が会いに来たんです。「あんなのやめて、こっちに来い」って言われて(笑)。そのあと、彼が僕のためにアパートを借りてくれて、そこに住むようになりました。
さゝめ さん
だって、新しくできた恋人っていうのが、挨拶もしないような男だったから。最初は一緒に住んでいたわけじゃなくて、私に恋人がいたから、愛人みたいな状態がちょっとあって。でも、一緒に暮らすことが決まったので二人で引っ越したんです。
たぁ坊 さん
そんな感じだから、いつから付き合ったっていうのがないんだけど、大体一緒に暮らし始めたのがこれぐらいだったかなっていうので、10月20日が二人の記念日になってるんです。
いまの暮らしに至る経緯を教えてください。
Question.02
さゝめ さん
二俣川へ来たのは1年くらい前。その前は相模原に住んでたんです。その頃はお互い会社員をしてたの。最初に同棲を始めたのは都内でした。出会ってすぐの頃は私が商売をしていて、たぁ坊に毎日焼肉を食べさせてた。でも、私の商売がうまくいかなくなってから、家賃の安い相模原へ移り住んだの。
たぁ坊 さん
そのときは、突然生活が一変して。電気・ガス・水道の全てが止まったんです。そんなこと、普通に暮らしてたらないでしょ? 当時僕は介護士として働いてたんだけど、そのお金も丸々、彼の事業のほうへ回して。だからお金が全然なかった。食べるものにも苦労しました。
さゝめ さん
毎日同じ焼肉のお店に行ってたのに、パッタリ行かなくなったら、お店のお母さんが心配して電話をくれて。何があったか言わなかったけど、きっと察してくれたのね。「閉店間際に来てご飯食べていいから、その代わり私の飲み相手になりなさい」って。
たぁ坊 さん
そのお店のお父さんも、職人気質で全然喋らない人なんだけど、ご飯やお肉をたくさん準備しておいてくれて。発注しすぎちゃったから、持っていけって。でも普通、牛ロースを2kgも間違えるなんてことないでしょ?
さゝめ さん
いろんな人に助けてもらったなと思う。もちろん、たぁ坊にも。ある日帰ったら、メゾネットの階段にロウソクが灯してあったの。電気が使えないから、ロウソクを点けてたのね。それで、「こんな暮らしでごめんね」って言ったら、「ロウソク、きれいだからいいじゃん」って言ってくれて。
引っ越しのきっかけは?
Question.03
さゝめ さん
もともと、このテナントにあった日本酒バーに依頼されて、二人で週一でマスターをしてたんです。それで繋がりができて。そのお店を畳むようだったので、自分たちが二人でお店を開くことになりました。
たぁ坊 さん
この辺飲み屋は多いけど、ゲイバーはうちだけなんです。お店終わりの女の子たちが集まるお店になりました。あとは地元の人も来てくれて、まだ1年経ってないのに、たくさんキープボトルが増えた。自分たちでもびっくりしています。
さゝめ さん
若い子たちが、仕事終わりの深夜3時頃に電話してきて「ご飯ある?!」って聞くのよ(笑)。だから、1000円で定食を作ってあげてるの。
たぁ坊 さん
うどんしかないときもあるし、ブリの刺身が出ることもあるね。冷蔵庫に残ってるものでメニューが決まるから。
さゝめ さん
夜まで仕事して、こうしてお店に来ておいしいおいしいって言ってくれるから、食べさせてあげたいなあって思うのよね。自分がいろんな人に温かくしてもらったから、そのお返しってわけじゃないんだけど。
お休みの日は何をしてますか?
Question.04
たぁ坊 さん
僕は家が大好きなんで、引きこもって本を読んでる。朝起きたら灰皿用意して椅子に座って本を開いて、「ああ、いい本だったな」って読み終わる頃に日が暮れる、みたいな。
さゝめ さん
私は逆。呼ばれたらどこでも人に会いに行ったり、お店へ行ったり。これまでいろんな人からお世話になってきたから、頼みごとやお呼ばれは断らないようにしてるの。人と会うことが好きだし。
たぁ坊 さん
正反対なんです、僕たち。
男性が好きだと気付いたのはいつ?
Question.05
たぁ坊 さん
よく聞かれるんだけど、例えばストレートの女性が「男性を好きだと気付いたのはいつ?」って聞かれても、答えられないでしょ。僕も一緒です。僕は気付いたら男性も女性も好きになる対象だったから、男性とも女性ともお付き合いしてた。
さゝめ さん
私は、中学生のときかな。兄の友だちがかっこよくて。家に遊びに来たときに、泊まるっていうんで一緒のベッドに寝たんです。別に何もなかったんだけど、すごくドキドキして。それからかな。友だちにカミングアウトしたのは、中学卒業のとき。仲いい男友だちに話したら、「別にいいんじゃない」って。それから、隠すことはありませんでした。
たぁ坊 さん
僕は、3歳から一緒の幼馴染に最初に言いました。その子は女の子だったのですが、なかなか同性には言えなかったですね。家族にも、姉と母にしか言っていません。父親とは仲がいいから、一緒に飲んでるときに将来の話をすることはありますよ。このお店を開くとき、やりたいことがあってこれから始めることや、自分は一生結婚しないと思うし孫の顔も見せられないと思う、ということを伝えて。そしたら「お前の人生だから好きにしたらいい」と言ってくれました。
さゝめ さん
私は、母親と旅行したり、一緒に出掛けることが多いんです。あるとき「あんたがおかまちゃんで良かったわ」って言ってて。上に兄がいるんですが、みんな結婚してお嫁さんのところへ行っちゃうから、私がいて良かったと。それはすごい嬉しかったですね。
たぁ坊 さん
お母さんのところへは、よく二人で遊びに行ってますよ。
LGBTの世間の理解について変化を感じますか?
Question.06
さゝめ さん
こういう地方の街で、こうしてお店をやっていけるってことかな。東京の歌舞伎町や新宿じゃないのに、いろんな人がお店に来てくれて、気にかけてくれる。これは昔じゃ無理だった。こんな風になったのは、私たちと同じようなタレントさんがずっと前からテレビに出て、がんばってきてくれたからだと思う。
たぁ坊 さん
同性同士だと、いざというとき頼りないなと思うことも多いけどね。例えば、結婚もできないし、事実婚も認められてないから、病院の緊急連絡先に名前を書くことができなかったり、何かあったときに駆けつけても、身内じゃないからどうにもできない。少しずつ変わっていっている自治体が増えているにしろ、まだまだ少ないですね。別に全員から認めてもらいたいって思いはないけれど、制度としてお互いを保証できるものや、整備はもっとされてもいいんじゃないかなと思います。
さゝめ さん
家を借りるのも大変で。男二人で住むとすごく怪しまれるから、従兄弟のふりをして同居することもある。自分たちは地元の人によくしてもらえたから、ここに引っ越すときは嘘をつくようなことはなかったけど、大体のゲイ同士のカップルはそうしてるな。
現在どんなお部屋に住んでいますか?
Question.07
さゝめ さん
ぬいぐるみがいっぱい置いてあるの。ほら、私たちは子どもが作れないでしょう? だから、ぬいぐるみに名前を付けて、部屋中に置いてるの。たまに話しかけたりしてね。
たぁ坊 さん
あとこだわってるのは、玄関かな。昨年亡くなった、すごくお世話になった方のお写真を飾ったり、二人の写真を飾ったりして。僕がおばあちゃん子だったから、おばあちゃんの写真も。
さゝめ さん
お地蔵さんもね。6歳で病気をしてたときに仏師の方が彫ってくれたものがあるんです。玄関は出入りする場所だから、そういう写真やものがあると、ちゃんとしようって思う。
将来はどんな家でどんな暮らしがしたい?
Question.08
たぁ坊 さん
縁側のある日本家屋に住みたいね、って話を二人でずっとしてるんです。今の生活も楽しいけれど、老後は二人で縁側でゆっくりするのもいいなって。
さゝめ さん
あとは、いつか銀座にお店を出したいねって。二つの店舗を隣り合わせにして、たぁ坊のお店はおしゃれなバー、私のところは深夜まで開いてる定食屋さん。お互いにお客さんを斡旋したりね(笑)。お酒飲むならあっち!こっちはご飯!みたいな。
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