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「今度はムラサキ色の電車がきたよ♪」
屋上庭園ではしゃぐ子どもが眼下を走る電車を指差し、お母さんに呼びかけます。
ここは「京王井の頭線」の「永福町」。井の頭線ユーザーにとっては、急行待ちの駅としてお馴染みです。各駅停車で永福町に到着して急行を待つ数分間、車窓から見える風景は落ち着きのある“東京の日常”といった印象ですが、この地はパワースポットとしての一面をもっていることを、あなたはご存知でしょうか?
数年前まで井の頭線沿線に住んでいた私も幾度となく乗換えでホームに降りた永福町。今回は初めて改札を抜け、街を歩いてみました。
駅名:京王電鉄井の頭線「永福町」
ランドマーク:永福寺
京王井の頭線、永福町駅があるのは杉並区の南側に位置する「永福二丁目」という住所。吉祥寺から渋谷までを結ぶ人気路線のほぼ中間に位置し、どちらの駅にも10分以内でアクセスできます。
また、学生の街として栄えているお隣の駅「明大前」からは京王線に乗り換えでき、新宿にもたったの15分。
利便性が良いにも関わらず、1日の乗降人員は明大前と比べて1万人以上少なく、都会の喧騒を忘れさせる、まさに穴場の駅といえるでしょう。
さらに、井ノ頭通りや方南通りといった主要な道路が駅の近くを走っているため、車での移動も快適。
バスで新宿や高円寺、中野方面にも出ることができます。
永福町の駅がある「永福」という地名は、この地にある曹洞宗の寺「永福寺」に由来します。
永福寺だけでなく、永福町には神社仏閣が数多く存在します。
そして、大圓寺からさらに西北の方に10分ほど歩くと見えてくるのが「大宮八幡宮」です。1063年(康平6年)に源頼義に寄って建立されたこの神社。東京の重心にあることから”東京のへそ”といわれ、パワースポットとして遠くからもたくさんの人が参拝に訪れます。
永福町を歩くと、歴史的な寺社とともに古い町並みがそこかしこに残っていることに気がつきます。
そんな永福町、駅の改札を出ると、そこは2011年に開業した駅ビル「京王リトナード永福町」。スーパーやベーカリーカフェ・輸入食品店や薬局などがあり、かなり便利。駅を出る前に最低限の必要な買い物を済ませることができます。
駅を出れば北と南にそれぞれ商店街が伸びています。
井の頭線の向こうに見えるのが「永福町北口商店街」。交差点を渡った商店街の入り口の右側には、中華そばの有名店「永福町大勝軒」があります。
永福町北口商店街では、大勝軒の他にもうなぎ屋さんやお蕎麦屋さんなどの老舗が現役で営業中。変わらぬ味で街の人の胃袋を満たしています。
新しい駅ビルのお店を便利に使いながら、商店街を歩いて個人店を堪能するのが永福町ならではの街の楽しみ方かもしれません。
永福町には、深い歴史とともに、善福寺川に沿って広がる和田堀公園や善福寺川緑地など、豊かな自然が残っています。
駅の周辺には大きな道路が走っていて車通りも多いですが、住宅街の中はとても静か。
ビルやマンションなどの高い建物は少なく、歩きながら建物探訪をしているだけで何とも言えない安心感を覚えます。
永福町の駅から北口商店街を進んでいくとやがて右手に見えてくる素敵な看板。1967年(昭和42年)にオープンした老舗洋食店「グリルマリノ」です。
今回はお父様の後を引き継いで2代目として店の厨房に立つ、大崎厚男さんにお話を伺いました。
(※以下、「」内は大崎さんのセリフです)
――大崎さんがお父様からお店を引き継いだ経緯を教えてください。
「僕は親父の背中を見て育ったので、子どもの頃から料理人になりたいと思っていました。でも最初から店を継ごうという考えはなかったんです。しばらくはホテルで働いていましたが、両親が高齢になってきたとき、『自分がこの店を守ろう』と決意して親父の後を継ぎました」
――お客さんはどんな方が多いですか?
「たまにテレビ番組に取り上げてもらうとわざわざ遠くからもお客さんが来てくれますが、それは一時のこと。通常だとほぼ9割が地元の人です。親子三代で通ってくれるお客さんもいて、本当にありがたいです」
――大崎さんにとって永福町はどんな街ですか?
「新しい建物も増えて新しい人も増えているけど、古い建物もたくさん残っています。駅ビルができたり、街の開発が進んでも、大勝軒さんやうちみたいな個人店も頑張っているし、新しいものと歴史あるものがうまく共存できている街ではないでしょうか。これからも変わらずマイペースに店を続けていきたいです」
永福町の街を初めて歩き、古い寺院や、たくさんの自然、老舗店が残る商店街など、さまざまな魅力に気がつきました。
歴史を大切にする街には、古き良き建物や自然が残り、そのうえに住む人たちの「文化」がつくられる……
大きなランドマークや商業施設がない永福町の魅力は、電車で通過するでは伝わりにくいかもしれません。
あなたも今度急行待ちで永福町を降りたら、そのままフラッと改札の外に出てみてはいかがでしょうか?
肩肘張らずに街を散策すれば、永福町に住む人たちがつくりあげてきた「文化」を感じ取れることでしょう。