「三井の賃貸」プロの現場。 | ペットが原因で原状回復の高額請求されるのはどんなとき?|ペット可物件

最近では、ペットの飼育が可能な賃貸物件も増えてきました。かわいいペットと暮らす生活は、癒しや安らぎを得ることができますが、一方で退去時の原状回復費用について心配する方もいらっしゃるのではないでしょうか。ペットと暮らす賃貸生活では、どのようなことに気をつけなければならないのでしょうか。

今回は、ペットが原因で原状回復費用が高額になるケースについてご紹介します。

1.ペットが原因の汚損破損修繕費用は誰が負担するのか?
原状回復費用が請求されないもの
ペットと一緒に暮らしていても、クロスの汚れや床の傷などの日常生活を送るうえで生じてしまうと考えられる程度のものや、一般的なクリーニングで除去できる程度の汚れや臭いであれば、通常損耗や経年劣化の範囲と捉えられるのが一般的ですので、入居者には原状回復費用は請求されません。ただし、飼い主本人はさほど意識しなくとも、例えば犬や猫がいる場合は少なからず臭いはつくものですし、思わぬ場所に汚れが残っていたり、クロスの引っ掻きキズも残ることが少なくありません。それらを含めて通常損耗の範囲内なのかどうかを巡ってトラブルになることも考えられますし、費用請求を避けるためにペットを飼っていた事実を隠そうとする借主がいたりします。

そこで、入居時の賃貸借契約において、事前に特約条項として盛り込まれている場合があります。ペットの飼育は借主が自由にできるものではなく、事前にオーナーや管理会社の許可を必要とすることが一般的です。その場合は事前に契約した契約書通りに原状回復費用が発生することになります。例えば、退去時にはクロスの張替え費用を負担することやその目安となる費用が明記されている場合、クロスの汚れや傷みの如何にかかわらず張替えの費用を入居者が負担することとなります。

入居者に原状回復費用が請求されるもの
クロスの傷や汚れ、部屋に染み付いた臭い、柱につけられた傷など、ペットを飼育したことによって生じた汚れや傷は、通常損耗とは認められません。国土交通省が公表している賃貸住宅の原状回復についてのガイドラインの中でも、ペットによる傷や汚れは通常の使用によって生じるものではなく、その原状回復に伴う費用は入居者が負担することが妥当であると示されています。

ペットを飼っている場合に必要となることの多い原状回復の箇所は、ペットが爪でひっかいたことでつけられたクロスや床の傷、ペットの排泄物などによる床やクロスの汚れやシミ、ペットのトイレを設置した箇所の臭いなどがあります。

2.ペットが原因で高額請求されるケース
床で爪とぎをした場合・柱やドアをかじってしまった場合
ペットが床で爪とぎをしたり、柱や敷居、ドアなどをかじったりしてしまった場合は、
床の張替え工事や、柱や敷居、ドアの補修工事が必要となります。また、ペットの排泄物で床にシミや臭いがついてしまった場合も床の張替えが必要になるケースもあります。
一ヶ所だけの補修であればそれほど工事費が高額になることはありませんが、複数の箇所の補修が必要になると、高額請求につながるケースがあります。

壁に深い傷や大きな穴を開けてしまった場合
クロスについた軽い汚れ程度であれば、クリーニングで落とすことができるかもしれませんし、クロスの破れはクロスの張替えで対応することも可能です。
しかし、壁に深い傷をつけてしまった場合や大きな穴を開けてしまった場合などは、クロスを突き抜けて下地ボードまで取り換える必要があります。その分、請求される原状回復費用も高額となります。

部屋全体にペットの臭いが染み付いている場合
ペットの管理やトイレの掃除などを充分に行なわなかった場合、部屋全体にペットの排泄物などの臭いが染み付いてしまうことがあります。通常のクリーニングではその臭いを取り去ることは難しく、壁や天井のクロスを張替えなければなりません。場合によっては床材の張替えが必要になることもあります。
部屋全体のクロスと床材の張替えとなれば工事費も高くなり、入居者への原状回復費用の高額請求につながります。

3.ペットと上手に暮らすには・・・
ペットの躾・手入れを怠らない
ペットが爪で床や建具などに傷をつけてしまうのを防ぐためには、こまめにペットの爪切りを行ない爪の形を整えることが大切です。また、ペットのトイレも清潔に保ち、臭いが室内にこもらないように気をつけることも重要ですし、そのためには決まった場所での爪とぎや排泄、噛みつき癖の矯正といった躾も大事になります。

床を守るためには
床の張替え工事となるとどうしても高額となります。ペットから床を守るためには、カーペットやフロアマットを敷くなどしてペットが直接床に触れることのないよう床を覆っておきましょう。犬や猫がフローリングの上で生活している場合は、それだけで細かいキズが無数についたり、時には大きなキズの原因にもなります。ある程度の厚みのあるカーペットであればそれらを防ぐことにもなり得ますし、ペットがトイレを失敗した場合でも多少の尿を吸収することも可能です。

柱や建具を守るために
ハムスターやウサギなどの場合、普段はしっかりとケージに入れて飼育をすると知らない間に柱や建具をかじることはないでしょう。
猫には爪とぎボードを用意する、犬の場合はかじられたくない場所にいたずら防止スプレーを吹き付けるなどして対策を行なうことも有効かもしれません。

壁を守るために
クロスの汚れやひっかき傷を防止するためには、ペット用のクロス保護シートが便利です。
簡単に張り付けることができ、はがすときにも跡が残らないようになっています。
クロスだけでなく、柱に貼ることができるタイプもあるので、柱の傷が心配な場合には柱にも保護シートを貼っておくと安心です。

4.まとめ
一昔前まではペットの飼育が禁止されている賃貸物件が多かったものの、最近ではペット可の賃貸物件も増えてきております。ペットも家族の一員であるという考えも広く浸透し、室内飼いでペットとの生活を楽しむ人も増えています。
しかし、ペットとの生活は人間だけの暮らしよりも部屋を傷つけ、汚してしまう可能性が高く、場合によっては退去時に原状回復費用として高額な請求になってしまうケースがあります。

かわいいペットと快適な賃貸生活を送るためには、ペットの躾や世話を怠らないだけでなく、壁や床を汚されないような工夫をすることも大切です。
以上

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