一日中光が満ちる中庭を囲むスクエアなフォルムの家

スクエア形の建物をコンクリートのフレームが一直線に囲む。中に進むと、プライバシーを確保しながらもとびきり開放的な空間だ。中庭からは、家中にさわやかな光と風が導かれ、また、室内からは、中庭越しに視線の届く範囲はすべてK様の家という、広がりと豊かさを感じる住まいだ。

エクステリア

著名な建築家のコンクリートの打ちっぱなしの建物が好みだったK様。RC造は採用しなかったが、RCの持つシンプルでクールな雰囲気は出したいと、「外からは家の中の気配を感じさせない、ミュージアムのようなスクエア形に」と、希望された。とくに屋根が見えないようにと建築士に伝え、完成したのは存在感のあるスタイリッシュな外観だ。エントランスは、モノトーンの世界観を玄関、そして中庭へと導く。

インテリア

ゆったりとした時間が流れるリビング、そしてダイニングキッチン。そのどこからも光溢れる中庭を大きな大開口から眺められる。床はウォールナットのフローリング、その床のウォールナットの色に合わせて、天井のレッドシダーに色をのせ調和させた。壁はアクセントに素材感も色も表情も違う“グレー”のタイルをご夫妻でセレクト。「家全体を考えて一度に選んだわけではなくて、各部屋に合うタイルを何度もショールームに通い選んでいったのですが、気がついたらどの部屋もグレイッシュなタイルばかりでした」と笑顔の奥様。それらが洗練されたK様邸の世界に美しく響き合う。
ご夫妻で多忙な日々を過ごすお二人は、家にトレーニングルームも設けた。壁から天井にレッドシダーを大きなカーブに合わせて貼り、こもり感を演出した。ランニングマシンで走った後は、大きなバスタブとレインシャワーでリラックス。

エピソード

「中庭は欲しいが、忙しいので庭の手入れまでは難しいと思う」と、中庭に植栽はいらないと語っていたK様。その意向を理解した上で、中庭の景観を考えた外構担当者が提案したのが、水やりが必要ない自動散水システムの導入、そして夜も楽しめるように考えた照明の設えだった。説明を聞いたご夫妻は、それなら大丈夫だろうと、担当者とともに山へ足を運びシンボルツリーにジューンベリーを選んだ。とくにご夫妻を喜ばせたのは、植えたジューンベリーが、花も実も楽しめ、季節の移ろいを感じさせてくれるところ。朝も夜も、中庭を眺めているだけで癒されるそう。

VOICE

K様ご夫妻は、家づくりのなかで建築士からも担当者からも「それはできません」という否定的な言葉を聞いたことがなかったと話す。ひとつの例が、RC造の建物が好みだったK様の「室内のどこかに、コンクリートのシャープな空気感を取り入れたい」というご希望。そこで建築士は、リビングの壁を通常はビルの施工などに使用する大判のタイルを提案、コンクリートのラフな雰囲気を出せるタイルだ。そのダイナミックなタイルの質感と黒のアイアン製の手すりがシンクロし、力強く潔い印象に。理想に近い仕上がりにK様は顔をほころばせた。

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