1988年三井ホーム施工の京都府K様邸は、玄関に隣接して和室、リビングと接客スペースが並び、さらにその奥には床に玄昌石を用いたサロンが続いています。サロンは、奥様がよくご近所のご婦人たちを集めてお茶を楽しまれているとか。ボウウィンドウからのやわらかい光が憩いのひとときを包み込んでいます。新築するにあたり、住宅に対する幅広い見識をもって臨み、こだわりを注ぎ込んだ、優美で穏やかな表情の住まいを紹介します。
こだわりは色褪せず、時を味方に輝きを増す1988年施工 京都府 K様邸
独創的でありながら、優しく街に溶け込んでいる佇まい
アーチ状の屋根のドーマーがアクセントとなり、リズミカルに屋根が広がる美しいフォルム。緩やかにカーブする道路に沿って佇むK様邸は、塀のないオープンなエクステリアで訪れる人をあたたかく迎えてくれます。新築時には、シンボルツリーのクスノキのほかは一面芝生だった庭も、永い歳月とともに味わい深い景観をみせています。この家を建てた時は近隣で評判になったようです。すぐ近くに住む方がこのデザインをとても気に入り、三井ホームで同じようにドーマーのある家を建てられたとのこと。そのお宅が外壁を塗り替えられた時期にK様もそれに倣ってメンテナンスを施し、歳月を経た今もなお当時の輝きを放っています。
こだわりを注ぎ込んだ、永く安心して暮らせる終の住処
住まいづくりは2回目で、この家は全て奥様に託されたそうです。竣工した時、初めてわが家をみたご主人は、細部まで上手にできているなと感心しきりだったとのこと。特にこだわられたサロンは、床が天然の玄昌石で、置かれているテーブルとベンチはオーダー品。そして、そのベースになったのは、奥様が大好きな京都の「進進堂」という喫茶店のテーブルとベンチだったそうです。ナラ材を使ったシャープなデザインのテーブルとベンチは、最終的に大工職人が、この家で漆を塗って仕上げたといいます。また、リビングにつながる和室も、木質の勾配天井を採用したり、手斧削りの床柱を用いるなど、住まいの全てに奥様の建築へのこだわりが宿っています。
本物の木、本物の石、そして洗練されたインテリア
材質にも間取りにもインテリアにもとことんこだわり抜いた奥様。室内の壁にしても、クロスが嫌いで外装用の吹き付けにしたり、モダンなデザインの階段手摺りはアイアンのオーダー品。住宅に対して、本物を知り尽くした見識の豊かさが伝わってきます。そして、そのこだわりの一つひとつが歳月とともに味わいを深め、重厚な空間を作り上げています。
家族の思い出が刻まれた、唯一の安住の場所
2階には二人のお嬢様の部屋があり、それぞれに北側と南側に分かれています。南側の部屋は、裁縫を学んでいたご次女の部屋。そして、当時美大生だったご長女は北側の部屋。アトリエも兼ねた部屋なので、北側の方が安定した光が得られるからだったようです。お二人とも結婚して独立されましたが、それぞれの部屋は当時のまま維持されていて、ご長女の描いた作品の数々は、玄関をはじめ、家中に飾られています。憧れとこだわりを叶えた愛着の住まいにたくさんの思い出が刻まれた、とてもあたたかく素敵な住まいです。
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