中古マンションをリノベーション(リフォーム)する際の基礎知識
新築の分譲マンションに比べて手が届きやすい中古マンションを買って、リノベーション(リフォーム)をする。コストを抑えて注文住宅のような住まいづくりができるとあって、近年注目を集めている暮らし方です。
今回は、中古マンションを購入し、リノベーションする際に知っておきたい基礎知識について解説します。
中古マンションを買ってリノベーション(リフォーム)するメリット
自分たちのライフスタイルに合わせて自由に住宅を設計できる、中古マンションのリノベーション(リフォーム)。人気の理由を見ていきましょう。
新築を購入するより安く、理想の住まいが手に入る
新築分譲マンションの価格が値上がりしている今、「新築は買えないけど中古なら…」という人は少なくありません。リノベーションを前提に中古マンションを購入すれば、コストを抑えて理想の住まいを手に入れることができます。
立地の選択肢が豊富
「駅近の人気エリアは高くて手が出ない」「住みたいエリアに理想の住宅や土地がない」というとき、中古マンションを視野に入れると一気に立地の選択肢が広がります。
理想の間取りにできる
中古マンションを購入して、住戸の内部にある柱や壁、床などを一度すべて解体・撤去するスケルトンリフォームを行えば、目に見えるところを刷新するだけでなく、間取りからすべて設計し直すことができます。 例えば、「子供が独立して夫婦二人の住まいを探しているので、部屋は3つもいらない」という場合は、3つある部屋を2つの部屋にしたり、寝室にする1部屋を残して、あとは広いリビングにしたりといった部屋の増減も可能。オープンキッチンにしたり、浴室を拡張したりといった水回りの変更も自由です。
中古マンションを買ってリノベーション(リフォーム)するデメリット
一方で、中古マンションを買ってリノベーション(リフォーム)する場合には、下記のようなデメリットもあります。
住み始めるまで時間がかかる
中古マンションを買ってそのまま住む場合と違って、中古マンションをリノベーションして住む場合は、打ち合わせや工事期間を挟むため、購入してすぐに住み始めることができません。入居の時期によっては、仮住まいが必要になる場合も多いでしょう。
物件によってリノベーションできない内容がある
マンションの構造によっては、できないリノベーションの内容があります。また、マンションの管理規約でリフォームできる範囲が定められていれば、それに従う必要があります。工事中、工事後の騒音が起こる可能性があるとして、床材の変更を禁じているマンションもありますので、事前に必ず規約をチェックしましょう。
このほか、電気・ガスの容量、搬入経路、工事時間などにルールを設けている場合もあります。
リノベーションできるのは専有部のみ
中古マンションでリノベーションできるのは専有部のみで、共用部には手を入れることができません。共用部の中には、ドアや窓など、一見専有部と思える場所もありますので注意しましょう。
中古マンションをリノベーション(リフォーム)する際のポイント
中古マンションを購入し、実際にリノベーション(リフォーム)しようとする際に気をつけておきたいポイントは次のとおりです。
リノベーションしたい内容の優先順位を決めておく
中古マンションを購入してリノベーションをしようとすると、次々にやりたいことが見つかって予算をオーバーしてしまうことがあります。まずは、予算ありきなのか、やりたいことありきなのかを決めましょう。さらに、「水回りが最優先」「床の張り替えは必ず行いたい」というように、やりたいことの中でも優先順位をつけておくと、リフォーム会社に依頼する際も、スムーズに進みます。
リノベーションでできることを知っておく
マンションのリノベーションは、何でもできる万能なものでは決してありません。リノベーションでできることと、できないことを確認しておきましょう。
<マンションのリノベーションでできること>
- 内装を変更する
畳、天井の張り替えや塗装、室内ドアの建具交換は、どのマンションでも可能です。 - 断熱性を上げる
内窓を増やしたり、壁や天井に断熱材を充填したりして断熱性を向上させます。 - コンセントの数を増やす
コンセントの数を増やすほか、位置の変更もできます。
<マンションによってリノベーションできる場合とできない場合があること>
- キッチンなど水回り設備の移動
水回り設備の移動は、十分な排水勾配をとれる範囲に限られます。 - 間取りの変更
マンションの構造が壁式構造の場合、間取り変更は行えません。
<マンションのリノベーションではできないこと>
- サッシの交換
サッシは住戸に付随していますが、共用部分にあたります。 - 玄関ドアの交換
玄関ドアも、住戸に付随していますが共用部分です。できるのは、室内側の塗装やシート貼りに限られます。 - パイプスペースの移動
給排水管、ガス配管、電気配線などのパイプスペースは、共用部分にあたるため移動できません。 - 耐震性のアップ
耐震補強はマンション全体に関わるため、住戸単位では行うことができません。管理組合で話し合い、1棟単位で行うことは可能です。
中古マンション選びの際に確認すべき項目
リノベーション(リフォーム)したいと思える魅力的な中古マンションを探す際には、次の点をチェックしましょう。
立地
駅や勤務地からの距離、商業施設と自然環境のバランスなどを踏まえて、マンションの立地を確認しましょう。ハザードマップを見て災害リスクをチェックすることも大切です。
築年数
マンションの築年数によって、建築法規による基準の内容が異なり、耐震、省エネ、バリアフリーなどの性能にも違いが出ます。いつ建てられたマンションなのかを確認しましょう。
専有面積
壁の中心から計測した「壁芯面積」、壁の内法から計測した「登記面積」、専有部面積に共用部分の持分面積を加算して算出した「課税床面積」の3つを、それぞれ分譲時のパンフレット、登記簿、固定資産税評価証明書で確認します。
建物の構造や規模
マンションの大きさ、および建物の構造によって、リノベーション(リフォーム)できる内容や範囲が異なります。
管理と清掃の状況
エントランスや外構、植栽の手入れ状況などから、マンションの管理が行き届いているかどうかを確認します。住み替えた後を思い浮かべて、細かいところまで目を向けてみることが大切です。
管理規約の確認
管理規約は、リノベーションできる範囲や内容について規定している場合があります。購入した後に希望のリノベーションができなかったということがないよう、確認しましょう。
中古マンションのリノベーション(リフォーム)事例
ここからは、三井のリフォームが携わった中古マンションのリノベーション(リフォーム)事例をご紹介します。
CASE1
タワーマンションを購入し、自分好みのリフォームを施す
- 築年数
- 10年
- リフォーム面積
- 83.00平方メートル
- リフォームにかかった費用
- 1,700万円
賃貸から持ち家へ移るべく、新築を含めていろいろと物件を検討。新築は、すべてを自分たちの好みにすることが難しいこと、現物を見て確認できないことから却下となったそうです。 中古物件の中でも、築2~3年のものは手を入れるのがもったいない感じがしたため、最終的には景色の良い角部屋、90平方メートル近い広さ、頑健な造りという3点がそろった築10年のタワーマンションに決定。購入してリフォームすることを決めました。ストレスなく要望が伝わり、ほかにない提案をもらえたことから、三井のリフォームにご依頼いただいています。
Before
After
<リフォームの内容>
「内装を北欧テイストにしたい」「旦那様の書斎、室内物干しスペース、収納スペースが欲しい」「家具は床から浮かせてお掃除ロボットが自由に行き来できるようにしたい」。リフォームにあたって、大きくこのようなご要望をいただきました。
これを受けて、内装は白×グレーで上品な印象に。フローリングをヘリンボーン張りにして、北欧テイストをプラスしています。また、以前、和室の押し入れだったテレビの背面を、旦那様の書斎に変更したり、洗面化粧台の背面にカウンターを設け、上部の使いやすい高さに物干しポールを設置したりしました。ご夫婦それぞれのウォークインクローゼットも、リフォームを機に造っています。
キッチン、テレビボードはフロートタイプに、床は敷居やレールをなくしてフラットにすることで、購入から3年ほど眠っていたお掃除ロボットも活躍しているそうです。
ご夫婦のこだわりとニーズをやりすぎない程度に反映したことで、「家事全般が楽しい家になった」とご満足いただきました。
CASE2
デザイン・設計力を駆使したスケルトンリフォーム
- 築年数
- 34年
- リフォーム面積
- 74.34平方メートル
- リフォームにかかった費用
- 約1,000万円
北参道モデルルームは、三井のリフォームの設計力・デザイン力を実感いただくモデルルームです。実際にある築34年のマンションで、「パッシブデザイン(快適な室内環境の実現)」「アクティブデザイン(エネルギー資源を大切に使う住環境の創造)」「スマートマネジメント(エネルギー利用の最適化)」の3つの要素をもとにした「スマートリノベーション」を施しました。
After
間取り図
<リフォームの内容>
DINKSの夫婦を想定し、部屋数重視の暗く閉鎖的な2LDKから、心地良い光と風が行き渡る開放的な1LDKにスケルトンリフォームしています。また、独立したキッチンは対面式に、狭くて暗かった浴室は窓のある開放感のある浴室に変更。さらに窓のリフォーム、および配管更新で断熱性・省エネ性もアップしました。それにより健康な暮らしを叶える室内環境を実現しています。