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不動産コラム | 住宅ローンの支払いがしんどいと感じたら即とるべき対策とは?

「住宅ローンの支払いがしんどい」と感じ始めたら…

毎月やって来る、住宅ローンの支払いに頭を抱えていませんか?一般的に理想的な年収に占める住宅ローンの負担率は、20%前後以内とされています。しかし、実際にはそれ以上に設定している人がたくさんいます。もし住宅ローンの支払いで家計が苦しいな…と感じ始めた状態なら、そのままにしておくのは要注意です。

住宅ローンの返済期間中に病気や失業、離婚など予期せぬことが起こる可能性もあります。そうなると、今は何とか支払いができていても、将来的にはさらに困難になる可能性があります。最悪なケースになると、家が強制的に競売にかけられることもありうるのです。

こうした事態を防ぐには、金融機関に相談して返済額や返済プランの見直しをすることはもちろん、自分の状況に合わせた適切な対処が必要です。そこで今回は、ローン返済が辛いと感じたときにすべき対策をご紹介します。

顔を覆う女性

住宅ローンが残っていても、任意売却ができる!

住宅ローンの支払いがしんどいと感じたら、早めの対策をとることが大切です。それでは、具体的にどのようなことから始めればよいでしょうか?ここからは今すぐできる家計の見直しや「リスケ」、そして「任意売却」についてご紹介します。

まずは家計の見直しをして、金融機関に相談を

ローンの返済がしんどくなったら、まずは家計を見直しましょう。光熱費や保険料など、必ず支払いが発生するもののなかに、必要以上に高く支払いをしているものがあるかもしれません。光熱費なら今より安く契約できる会社を探してみる、保険料なら契約しているプランの見直しや一部解約も検討してみましょう。こうした固定費を抑えることで、家計の負担が軽くなることもあります。

それでも家計が厳しいようなら、ローンを組んでいる金融機関に相談しましょう。「支払いが難しいなんて相談してもよいのかな?」と思う方もいるかもしれませんが、早めに相談をすることで返済プランの「リスケ」がしやすくなりますよ。

打ち合わせする営業マンと夫婦

ここでいうリスケとは、「リスケジュール」の略で返済条件の変更をすることです。変更内容は金融機関によりますが、一時的な返済の猶予や返済期間の変更などにより毎月の返済額の見直しをしてくれる可能性があります。
ここで大切なのが、返済の滞納が発生する前に金融機関にリスケをお願いすることです。一度滞納をすると金融機関からの信用が落ちてしまいますが、滞納前ならリスケを認めてくれやすくなります。

リスケをすると新規の融資が受けづらくなるといった注意点もありますが、滞納して信用情報に金融事故として滞納の履歴が載るといったリスクを考えれば、十分に検討する価値はあるでしょう。

それでも支払えない場合は、任意売却を視野に

家計の見直しやリスケなどをしても、支払いが難しいという場合は「任意売却」を視野に入れてみてください。任意売却とは、抵当権が住宅に設定されている場合に金融機関の了承を得て売却すること。その売却代金でローンの残債を解消することを目的とします。つまり、ローンが残っている状態でも物件を売ることができます。
なお、ローンの残債が物件の売却金額よりも高いオーバーローンの状態となる場合は、事前に金融機関の了承が必須になります。

●仲介業者が入り、市場価格に近い金額で売却できる
任意売却は、強制的に売却となる競売に比べて市場価格に近い金額で売れる点が大きな特徴です。また任意売却では、通常の不動産売却と同じように不動産会社が仲介して売却活動をしてくれます。このため任意売却だと、債務者の希望に近い条件で売却しやすくなるのです。

ローンが支払えず、そのままにしておくと「競売」となってしまいます。競売はローンを3ヶ月〜6ヶ月以上滞納し、債権者からの通知がきても支払いができない場合に、強制的に行われるもので、できれば避けたいものです。競売は裁判所が主導して入札によって売られるため、売主の希望はほとんど反映されません。さらに、任意売却と比べると、競売は仲介業者が入らないばかりか、市場価格よりも低い価格で売却されてしまいます。

住宅ローンの残債を少なくするには、物件を1円でも高く売ることが大切です。ローンの支払いが厳しい状態になったら、競売となる前に任意売却を選択した方が負担は軽くなる可能性が高くなります。

また、金融機関にとっても安く売却される競売より、任意売却で少しでも高く売ってもらった方がメリットがあります。このため、「失業や病気などで滞納が発生し、ローンの支払いが難しい状況だ」と判断すれば、金融機関は任意売却の許可を与えてくれることが多くなるでしょう。

握手するビジネスマン

●債権者との交渉で、残債の分割返済や引越し費用を軽減できる
任意売却では、事前に金融機関との協議が整えば、売却後に残ってしまったローン(残債)を分割して返済することを認めてもらえることがあります。そうなれば、一度に支払わなければならない負担を最小限に抑えることが可能となります。このときの返済プランは金融機関と相談となりますが、状況が分かっているので無理なく支払える返済プランを提案してくれることがほとんどです。支払う金額は金融機関やその人の状況によって異なります。

ちなみに、任意売却では債権者と交渉することで引越し費用の一部を売却額から、捻出してもらうこともできます。金額や何が引越し費用として認められるかは、債権者の金融機関によって異なります。

●売却で得たお金から諸経費が払える
任意売却は売却でかかる仲介手数料や税金などの諸経費を、売却で得たお金から支払うことができます。ローンが払えない状況では、通常の売却をする場合、売却をするためにかかる経費が払えないこともあるでしょう。一方、競売では諸経費も自分の負担で払わなければいけませんが、任意売却は売った後で売却額から支払うことができます。

任意売却でも売却にかかる諸経費を払う義務はありますが、諸経費を用意しなくても売却を始められることは嬉しいポイントですね。

●競売と違い、売却理由が周囲に知られにくい
任意売却は通常の不動産売却と同じように、個人情報を出さずに売却活動が行われます。そのため、周囲が見てもローンの滞納など知られたくない理由による売却だと知られにくいメリットがあります。特に売却後も近所に住む場合は、任意売却ならプライバシーが守られるため競売に比べて安心して新生活をスタートできるでしょう。

競売の場合は、通常の不動産売却とは個人情報の扱いが異なります。競売では、物件の住所や建物の写真などの情報が、裁判所の公告やホームページなどで広く公開されます。このため、近所や職場の人などに売却理由を知られてしまうリスクがあるのです。

任意売却の注意点

任意売却は債務者にとって有利な特徴がありますが、通常の方法でローンが支払えない場合など返済に困った場合に利用する売却方法であることに変わりはありません。そのため、通常の不動産売却とは違うリスクや注意点があります。任意売却を検討する際は、以下の点もきちんと理解しておきましょう。

●任意売却にはタイムリミットがある
任意売却する場合は、競売の開札日前日までに売却しなければなりません。任意売却をすれば、競売にかけられないし一安心!と勘違いしてしまう方もいますが、これは間違いです。

競売を回避するには、開札日前日までに物件の売買契約を交わすだけでなく、残代金を受け取り、残債を支払うステップまで終える必要があります。たとえ任意売却の途中であっても、競売で落札者が決定されるとその時点で任意売却ができなくなるので注意しましょう。

ただし、任意売却ができるのは「期限の利益喪失通知」が手元に届いてからになります。この通知は、ローンを滞納が発生してから何もしなければ、およそ6ヶ月後に債権者から送られてくるものです。

いずれにせよ、早い段階で金融機関に相談することが重要なポイントです。また、任意売却をする場合は、仲介する不動産会社と協力して積極的に売却活動を行う必要があります。ローンの支払いに困ったら、早めに任意売却の相談もすることをおすすめします。

カレンダーと砂時計

●住宅ローンがなくならないこともある
任意売却をした場合でも、ローンが残ってしまうことがあります。売却で得たお金はローンの返済に充てますが、売却金額が残債額を下回るケースではローンが残ってしまうのです。特に、住宅の購入から間もなく、ローンの返済期間が長く残っているほど売却金額がローンの残債を下回ることが多くなります。残ったローンの金額は無担保の「残債務」となり、任意売却した後も返済しなければなりません。

●信用情報に滞納履歴が掲載されてしまう
原則としてローンを滞納すると個人信用情報という金融機関が閲覧できる個人情報に滞納したという履歴が載ってしまいます。この信用情報に滞納の履歴が載るということは、信用情報を照会した金融機関に金融事故の情報として知られるということです。

一度金融事故の履歴が載ると5年は記録が残り、クレジットカードの審査が通らなかったり、銀行で融資が受けられなかったりと生活に大きな影響が出てしまいます。こうした点からもできれば住宅ローンを滞納する前に、早めの対策を打つことが大切なのです。

任意売却の流れ5ステップ

上記でご紹介したように任意売却には、タイムリミットがあります。競売となってしまうことを避けるためにも、余裕を持って手続きや取引進めていけるかどうかが重要です。そのためには万一に備え、任意売却がどのように行われるかをある程度把握しシミュレーションしておきましょう。

ここからは任意売却がどのように進んでいくかを5つのステップに分けて解説します。それぞれに注意すべき点もお教えしますので、ぜひ参考にしてくださいね!

家の模型

[ 1 ] 任意売却を扱う不動産会社に相談する
任意売却する必要がある状況になったら、早めに不動産会社に相談しましょう。不動産会社は任意売却の実績やノウハウのある会社を選ぶことが大切です。さらに、任意売却は法律に関する知識も幅広く求められるため、弁護士や司法書士といった専門家と提携しているなど、専門家を活用できるかどうかも不動産会社を選ぶポイントです。

また、相談時の不動産会社の対応も会社選びの判断材料になります。売却でかかる費用に不明な点はないか?売却後の手続きや引越しなどの附帯するサポートは充実しているか?など、気になる点はしっかり聞いておきましょう。

任意売却を成功させるには、パートナーとなる不動産会社が信頼できるかどうかが非常に重要です。不動産会社は焦って選ばずに、しっかり見極めたうえで判断しましょう。

[ 2 ] 債権者の了承を得る
不動産会社と媒介契約を結んだら、債権者となる金融機関に了承をもらいます。債権者には計画案を示して、売却金額や返済する残債額、諸費用などを含めた内容を了承してもらい、その後任意売却の許可が得られます。想定の売却金額が返済すべき金額を下回る場合は、残ったローンの返済方法なども調整して了承を得る必要があります。

ここでの交渉は契約した不動産会社と一緒に行うため、金融機関が納得し了承が得られるかどうかは不動産会社の交渉力が大きくかかわってきます。

[ 3 ] 売却活動をする
債権者の了承が得られたら、いよいよ売却活動がスタートします!任意売却の場合は前述したようにタイムリミットがあるので、債務者も積極的に売却活動にかかわっていくとよいでしょう。たとえば、内覧での印象をよくするために掃除をしっかり行う、売却活動の状況を見て戦略を変更するなど、できることは何でもする意気込みで協力しましょう。

相談に応じないなど不動産会社に売却活動を丸投げしないことも、物件をよりよい条件で売却するための近道です。

[ 4 ] 売買契約を行う
買主が見つかったら、通常の不動産売却と同じように売買契約を結びます。ただし、任意売却の場合は債権者から最終的な許可を得なければ契約ができません。不動産会社にサポートしてもらいながら、細かい調整を行います。このとき、売却代金にもよりますが、売却で得た資金から引越し費用が控除できるように交渉すると、売る側としては引渡しがしやすくなります。

[ 5 ] 引越し、決済、引渡し
債権者から許可がおり、売買契約ができたらひと安心です。契約を結んだら、期日までに引越しをします。引越しをするだけでも荷物の整理や掃除などで時間がかかるため、余裕を持って引越し準備を進めるとスムーズに引渡しができるでしょう。

引越しを終え、買主側の準備が整ったら、売買代金の決済と物件の引渡しを行います。そして、代金決済の同日に金融機関へローンの残債を支払います。ここで残債がすべて返済できれば、晴れて住宅ローンの支払いから解放されますが、売買代金で返済しても残債務が残る場合は、その後その返済をしなければなりません。

笑顔のシニア夫婦

「しんどい」「ピンチ」と感じたら、即対策することが大切!

信用情報への滞納履歴の掲載や最悪競売になってしまうなど、住宅ローンの滞納が続く状況では、生活にかかわるリスクが大きい状態にあります。また、任意売却も競売に比べるとメリットはあるものの、注意点もたくさんあります。そのため、任意売却を成功させるためには事前の準備や知識が必要です。

今回ご紹介した任意売却を最終手段と考えて、「ローンの支払いがしんどい」と感じ始めたらすぐに金融機関に相談しましょう。早めに相談することで、リスケなど問題が大きくならないうちに対処できるかもしれません。

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