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不動産コラム | 専任媒介とは?不動産売却時の不動産会社の選び方も併せてご紹介

■分からないことだらけの不動産売却

不動産の売却では、考えることやするべきことがいくつもあります。あなたも、不動産の売却を検討している、もしくは進めているけど、分からないことがたくさんあって困っていませんか?

売却にあたって検討事項の1つが不動産会社との「媒介契約」。マンションや戸建て、土地などの不動産売却で仲介をしてもらうならば必ず媒介契約をする必要がありますが、この契約には種類が複数あるため、頭を悩ます方もいらっしゃるかもしれませんね。

そこで今回は、不動産売却で結ばれる媒介契約についてご紹介します。
なかでも主要な媒介契約の1つである「専任媒介契約」の基本的な特徴やメリット、加えてどの契約を選べばよいのかを詳しくご紹介します。

握手するビジネスマン

専任媒介とは媒介契約の一種

専任媒介契約とは媒介契約の一種です。
媒介契約とは、不動産の売買・賃貸で不動産会社に仲介を依頼する場合、売主や買主など取引の当事者と不動産会社が結ぶ契約のことをいいます。
また、媒介契約の種類には、専任媒介契約、専属専任媒介契約、一般媒介契約の3つがあります。どの契約にするかは売主が選択できるので、状況に合った契約を選ぶと納得のいく取引につながるでしょう。

媒介契約の種類によって、内容や契約の有効期間などが異なります。媒介契約ごとの主な違いは下記の表をご覧ください。

専任媒介契約 専属専任媒介契約 一般媒介契約
自分で買主を見つけて直接売買 できる できない できる
複数の不動産業者との契約 1社のみ 1社のみ できる
契約の有効期間 3ヶ月 3ヶ月 指定なし
レインズ(指定流通機構)※への登録 媒介契約締結日から7営業日以内 媒介契約締結日から5営業日以内 任意
業務処理の報告義務 2週間に1回以上 1週間に1回以上 任意

※レインズ(指定流通機構)とは、全国の不動産業者のみが利用できる、不動産取引の対象物件情報を交換するためのネットワークシステムのことです。レインズに物件情報が登録されると、全国の不動産会社に物件を周知することができます。レインズには募集中の物件情報のほかに、成約情報といった過去の取引情報のほか、登録業者情報なども掲載されています。

■専任媒介契約は、1社の不動産会社とのみ結ぶ契約

媒介契約はそれぞれに特徴がありますが、その中でも専任媒介契約はバランスの取れた内容になっています。ここからは注意点やメリットなど、専任媒介契約についてさまざまな角度からご紹介します。

握手するビジネスマンとシニア夫婦

専任媒介契約の特徴

専任媒介契約は1社の不動産会社とのみ行う契約で、複数の不動産会社に媒介を依頼することができません。ただし、売主が自ら買主を探して直接取引することが可能です。

契約期間

専任媒介契約の契約期間は最長3ヶ月です。専任媒介契約は1社としか契約できないため、売主に対して拘束力を持っています。そのため、売主を保護する目的で法律によって契約期間が定められているのです。

不動産会社の義務

専任媒介契約において、不動産会社は媒介契約を結んだ日から7営業日以内にレインズと呼ばれる指定流通機構に物件を登録する義務があります。専属専任媒介契約では登録義務は5日以内に登録、一般媒介契約では任意なので、不動産会社は登録しなくてもよいことになっています。

さらに、不動産会社は2週間に1回以上業務処理の状況を売主に報告しなければなりません。報告の内容は不動産会社によりますが、販売活動の内容をはじめ、問い合わせや内覧の件数報告などが一般的です。

なお、専属専任媒介契約では報告を1週間に1回以上行う義務があり、一般媒介契約の場合は報告についても任意となっています。

仲介手数料

不動産会社との仲介手数料は、宅地建物取引業法により上限が定められています。売買価格が400万円超の場合、手数料の上限額はおおよそ売買価格の3%+6万円で計算できます。不動産会社がこの上限額を超える仲介手数料を請求するのは法令違反にあたります。

専任媒介契約のメリット

専任媒介契約のメリットは大きく3つあります。

窓口が1つになるので取引しやすい

専任媒介契約は1社の不動産会社とのみ結ぶことができる契約のため、希望条件の変更や内覧の申し込みなど依頼者が複数の仲介業者とやり取りをする必要がありません。複数の不動産会社と契約していると、内覧日の調整などで思った以上に時間を取られてしまうこともあります。

専任媒介契約なら、不動産会社との窓口が1つなので取引がスムーズに行えるでしょう。

業務処理の状況報告やレインズへの登録が義務付けられている

不動産の売却をスムーズに進めるには、売却活動の状況をきちんと把握すること、早めに物件情報を公開することの2つが大切です。

専任媒介契約では業務処理の状況報告が2週間に1回以上義務付けられているので、売却活動の状況を把握しやすくなります。そのときの状況に合わせて柔軟な対応がしやすいので、取引がスムーズに進めやすくなるでしょう。

また、レインズ(指定流通機構)への登録も契約後7日以内に行われるので、早々に全国の不動産会社に物件情報を周知することができます。レインズに登録することで、物件を探しているお客のいる不動産会社に素早く情報が渡り、購入希望者が見つかりやすくなります。
以上が専任媒介契約のメリットですが、これらは専属専任媒介契約でも同じようなことがいえます。しかも専属専任媒介契約であれば、報告義務は1週間に1回以上で、指定流通機構への登録は5日以内です。こうして見ると専属専任媒介契約の方がよいと思う方もいるのではないでしょうか?しかし、専任媒介契約ならではのポイントがあります。

自分で買主を見つけられる

専任媒介契約のポイントは、売主が自分で買主を見つけられることです。
たとえば、知人が自宅を買ってくれることになり、不動産会社を介さず直接個人間で取引すれば、互いに仲介手数料を支払わずに売買できます。しかし、専属専任媒介の場合は、このようなケースでも必ず仲介業者を通さなければならず、売主買主とも仲介手数料が発生してしまいます。専任媒介契約では、このような場合に不動産会社を通さずに契約できるので、より自由度が高いといえるでしょう。

このように専任媒介契約は、ほかの媒介契約のメリットをバランスよく持っている媒介契約なのです。

談笑するシニア夫婦

専任媒介契約の注意点

専任媒介契約は1社の不動産会社としか契約しないため、不動産会社や担当者の対応の善し悪しで大きく左右されることがあります。たとえば、レインズに登録しただけでそのほかの媒体に物件情報を公開しない、検討している人や顧客のいる不動産会社から問い合わせがあっても対応が悪く話が先に進まない、といったことがあり得ます。
こうした問題は目に見えにくいものですが、よりよい条件で売却したい売主にとって、このような対応をする不動産会社や担当者は痛手でしかありません。

特に、専任媒介契約を結ぶ場合、不動産会社選びはとても重要なものです。売却で困ったことにならないように、信頼できる不動産会社や担当者を見極めましょう!
信頼できる不動産会社や担当者の見極め方については「売却で不動産会社を選ぶときのポイント」でご紹介しています。

■売却時には、どの契約を選ぶのがおすすめ?

ここまで専任媒介契約についてご紹介しました。自分にとって専任媒介がよいのか?ほかの契約の方がよいのか迷ってしまった方もいるのではないでしょうか?
どの契約するか悩んだら、以下のポイントを中心に考えてみてください。

打ち合わせをする夫婦と営業

迷ったら専任媒介契約にしよう

どの契約にするか迷ったら、自由度が高く、不動産会社が熱心に動いてくれやすい専任媒介契約がおすすめです。

専任媒介契約なら1社の不動産会社との契約になるので、取引のやり取りも1本化できますし、不動産会社も熱心に売却活動をしてくれやすいでしょう。また人によっては売主を自分で探すことができることも、迷ったら専任媒介契約を選ぶべき理由の1つといえます。

専任媒介契約では、自分で買主を見つけた場合も不動産会社が仲介してくれることがメリットになります。もし、仲介業者を介さずに個人で不動産売却をすると、専門知識が必要な細かい契約内容の取り決めを自分で行わなくてはいけません。さらに物件に何らかの不具合があった場合、売主に責任があるため場合によって賠償金が発生するリスクもあります。

不動産売買は専門的な知識が必要とされるため、プロの不動産会社がサポートしてくれる専任媒介は不動産売却が初めての方でも安心して取引できるでしょう。

買主候補がいないなら専属専任媒介契約

知人や親族など、自分で物件の買主候補が見つけられそうにない場合は専属専任媒介契約もよいでしょう。専属専任媒介契約は自分で買主を見つけても仲介手数料が発生してしまう代わりに、専任媒介契約よりも早くレインズに登録する義務があるうえに、業務状況の報告を1週間に1回以上もらえます。

また、仮に自分で買主を見つけても、やはり専門的な不動産の売買契約など一連の取引を不動産会社に任せたい方は専属専任媒介がよいかもしれません。

ただし、物件が買主候補の見つかりやすい人気エリアにある場合は、一般媒介契約もメリットがあります。

人気エリアの物件を売却するなら、一般媒介契約も視野に

売却する物件が駅近や人気エリアにあるなら、一般媒介契約を検討してみてもよいでしょう。一般媒介契約は複数の不動産会社に依頼できる、唯一の媒介契約になります。希望者が多数見込めそうな物件であれば、複数の不動産会社に競争してもらうことで、より早くよりよい条件で売却できる可能性があるのです。

ただし、一般媒介契約は複数の不動産会社に依頼するため、不動産会社にとっては必ずしも手数料収入を得られるわけではありません。そのため、条件のよい物件でなければ、不動産会社が熱心に売却活動を行ってくれないこともあります。複数の不動産会社に査定や相談などをして、売却する物件に買主が現れにくそうなときは、専任媒介などほかの契約も検討してみましょう。

■売却活動が上手く行かないときに、契約の変更はできる?

1つの不動産会社とのみ行う専任媒介契約はメリットがある一方で、不動産会社や担当者によって売却活動に大きく差が出るという注意点があります。不動産の売却はその後の生活設計などに大きな影響があるので、売却活動がスムーズにいくかは気になりますよね。

不動産会社の方針や担当者との相性や状況によって、不動産売買がスムーズに進行しない場合は契約の変更や解約はできるのでしょうか?

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契約期間が満了になれば変更・解約可能

専任媒介契約の有効期限は法律で最長3ヶ月と定められています。この期間が過ぎれば、契約の変更・解約が可能です。もし何らかの理由で契約の変更・解約を考えている場合は、契約を更新するタイミングで行うのがベストでしょう。

なお、契約の更新は口頭だけでは有効と認められず、正式に書類にサインをする必要があります。もし口頭で更新する意思を伝えても、書類にサインする前であれば変更・解約することができますよ。

契約の有効期間が過ぎれば、売主側が払う費用は発生しません。売主が不動産会社に払う義務があるのは、特別な依頼をした広告費以外は成約したときの成功報酬にあたる仲介手数料だけです。

途中解約する場合には違約金が発生する

3ヵ月の有効期限前に契約を解約すると、契約上違約金が発生するので注意が必要です。さらに有効期限前に別の不動産会社と契約することも違約金の対象となりますよ。

ただし、依頼した不動産会社が期日内に指定流通機構への登録や、業務処理状況の報告など、行うべき義務を満たしていない場合は別です。こうした行為は不動産会社側の契約違反になるので、売主は改めて期限内に義務を果たすように要求できます。
それでも不動産会社が契約違反を続けるようであれば、専任媒介契約の解除ができます。

なお、「転勤が取りやめになった」といった不動産を売る理由がなくなった場合には、不動産会社に相談すれば途中解約が可能です。もともと成功報酬ということもあり、不動産会社としても納得できる理由であれば、ペナルティなく解約に応じてくれることが多いようです。

■売却で不動産会社を選ぶときのポイント

専任媒介契約で失敗しないためには、どの不動産会社を選ぶかが重要です。納得のいく売却活動をしてもらい、よりスムーズに売却するためには、どこを見て不動産会社を選べばよいのでしょうか?

家の模型と夫婦

会社の特徴や強みが自分の物件に合っているか

不動産会社を会社の規模で選ぶ方も多いのではないでしょうか?しかし、売却力は会社規模だけでなく、不動産会社の持つ特徴や強みが売却物件と合っているかが大切です。

大手の不動産会社の特徴

大手の不動産会社は資金や人員が充実しており、幅広い広告展開やネットワークを活かした売却活動が得意です。そのため売買成立までのスピードが比較的早いというメリットがあります。

また、契約業務やコンプライアンスに関する専門部署があると、書類や法律などに対する不備が発生しにくいのも特徴。

大手会社の中でも、全国売買仲介取扱件数がNo1※の三井のリハウスなら信頼してお任せすることができます!

街の不動産屋などの中小企業の特徴

街の不動産屋さんのような所であれば、大手のようなサービスや広告展開は難しいものの、地元にある独自のネットワークや顧客情報を持っていることがあります。そのため、大手では難しい物件でも思いのほか早く売却できる可能性も考えられます。
また、周辺施設や交通アクセスなどの情報を熟知している点も売却活動ではプラスに働くでしょう。

このように不動産会社選びはそれぞれの特徴を比較検討することがポイントです。

どういった物件の売却を得意としているか

売却したい物件と同種の物件の売却を得意としているか、その売却実績がどの程度あるかもチェックしてみましょう。たとえば、マンションの売却を得意としているのか、戸建てや土地の売却を得意としているのかといったことを売却の相談するときに聞いてみましょう。過去に取り扱った実績を見聞きすれば、それだけ知識や経験があるということが分かります。
物件に応じた売却活動のノウハウや顧客情報も持っていることも期待できますね。

担当者に専門知識はあるか、信頼できる人物か

担当者選びも不動産会社選びと同じくらい重要です。よい担当者かどうかをチェックするには、必要な専門知識とノウハウ持っているか?売主の立場になって親身に対応してくれるか?の2つを重視してみましょう。

知識の有無については「宅建士」の資格を持っているかが1つの基準になるでしょう。この資格が無くても営業はできますが、資格保有者であれば業務に必要な一定の知識があるという目安になります。
ただし知識があっても交渉力や対応力が無いと、取引がうまくいかない場合もあるため、担当者との相談や打ち合わせの場面で、説明の仕方や接客態度を見て判断したいところです。
資格もあり、説明や接客態度に好感が持てる担当者なら、経験値やノウハウも期待できるので安心して取引ができるでしょう。

担当者の中には顧客ではなく、自社や自己の利益を優先する人もいます。こうした人物でないか見極めるためには、物件売却依頼であれば、物件の価格査定時に出した金額の根拠や物件の具体的な売却活動を尋ねてみるのも1つの方法です。信頼できる担当者であれば曖昧な回答をせず、顧客の立場になって具体的に分かりやすく答えてくれるでしょう。

ビジネスマン

よい条件で不動産の売却を成功させるには、契約内容やそこに生じやすいリスクをきちんと確認することが大切です。今回ご紹介した専任媒介契約は、3つある媒介契約の中ではバランスがよいものですが、不動産会社や担当者によって売却活動に差が出てしまい、売却の成否を大きく左右してしまいます。

まずは売却する物件の特徴や、売却で重視したい点はどこかなどを明確にしてみましょう。事前にこうした点を洗い出すことで、どういった媒介契約が相応しいか、そして依頼する不動産会社が選びやすくなりますよ。

不動産を売却することは人生においてやはり大きなイベントの1つです。ご紹介したように媒介契約は売却の成否を分ける重要なポイントですが、よく分からないまま売却を依頼してしまう方も見受けられます。ポイントをしっかり押さえて、後悔しないよう売却のパートナーを選びましょう!

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