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不動産コラム | 不動産売却にかかる税金はいくら?必要な費用の計算や節税対策をご紹介

知らないと損!不動産売却時にかかる税金の基本

マンションや戸建てなどの不動産売却では、所得税や住民税などの税金がかかります。課税される税率は物件の用途や所有年数などで変わるため、税金に関する知識を持っているか、持っていないかで、不動産売却時に支払う税金が大きく違ってしまうのです。

できるだけ支払う税金を抑えるためにも、マイホームを売却するときにかかる税金についてご紹介します。

家の模型と電卓

売却で得た利益や売却時の手続きに税金がかかる

不動産売却時にかかる税金は大きく分けて、売却益が発生したときにかかるものと、売却手続きにかかるものがあります。

売却で利益が発生したときにかかる税金
売却で利益(売却益)が発生したときにかかる税金は以下の2つです。

・譲渡所得税
・復興特別所得税

譲渡所得とは、土地や建物など特定の資産を譲渡して得た所得のこと。不動産の売却によって得た利益も譲渡所得のうちの1つです。
不動産の譲渡所得は「譲渡収入金額 - (物件の取得費 + 売却時にかかった経費 )」
で求めることができます。

譲渡所得にかかる税金の内訳は、所得税や住民税となっており、これらをまとめて一般的には譲渡取得税といわれます。
現在は、所得税全般に復興特別所得税が課税されます。譲渡所得が発生した場合も復興特別所得税を納める必要があります。復興特別所得税は復興税とも呼ばれており、2011年に発生した東日本大震災の復興のために使われる税金です。

売却の手続きにかかる税金
不動産売却時の手続きにかかる税金もあります。

・収入印紙税
・登録免許税

売買契約書に収入印紙を添付して納める収入印紙税や、登記にかかる登録免許税です。

不動産売却時の税金は百万円単位がかかることも

売却時にかかる税金の中でも、譲渡益が出た場合の譲渡所得税は大きな割合を占めます。売却する物件の用途や所有年数によって税率や適用される特例が異なりますが、場合によっては百万円単位でかかることもあります。

特例控除を利用できればお得になる

不動産売却にかかる譲渡所得税は、売却した不動産や売主の条件によって軽減税率や特例控除を受けることができます。特例控除の代表的なものが「3000万円特別控除」です。これは自分が住んでいるか、以前住んでいた住宅が対象の制度で、適用されれば売却時に利益が出た場合の税金を大きく抑えることができます!

利益が発生した場合にかかる譲渡所得税の計算方法

不動産の売却では、金額が大きいため利益が出た場合その金額も大きくなることがあります。そんなとき、どのくらい税金がかかるのか気になりますよね?譲渡所得税は物件の用途や所有年数によって税率が異なるため、仕組みがやや複雑です。

ここからは初めて不動産売却をする方でも分かりやすいように、順を追って譲渡所得税の計算方法をご紹介します。

電卓で計算をする女性

譲渡所得税額の計算方法

譲渡所得税額は、以下のように「特別控除額」を差し引いた「譲渡所得」に、定められた「税率」を掛け合わせることで算出できます。

譲渡所得税=(譲渡所得ー特別控除額)×税率

ここでいう譲渡所得とは、不動産売却などで発生した所得(損益)のことです。そのため、譲渡所得税を計算するにはまず、売却で発生した譲渡所得の金額を計算する必要があります。
[ Step1 ] では譲渡所得を把握する計算、[ Step2 ]では特別控除額を差し引く計算、[ Step3 ]では税率を掛け合わせる計算をご紹介します。

[ Step1 ] 譲渡所得を把握する

譲渡所得の計算式は以下の通りです。

譲渡所得 = 物件を売った金額等(譲渡収入金額)ー(物件を買った費用(取得費)+売却時の諸費用(譲渡費用))

このように、譲渡所得は売却物件を売って得た収入金額から、物件の購入時にかかった取得費と、売却時にかかった諸費用を差し引いたものになります。

●物件を売った金額(譲渡収入金額)
物件の売却代金と固定資産税・都市計画税の清算金の合計額となります。

●売却時の諸費用(譲渡費用)
物件売却時にかかった仲介手数料や印紙税などの必要経費をまとめた金額です。

●物件を買った金額(取得費)
物件を購入するときの売買代金に、仲介手数料や税金などかかった諸経費を加えた金額です。さらに、「減価償却費」を差し引いた金額か、譲渡収入金額の5%相当の金額のいずれか大きい金額が引かれます。

取得費=(物件購入金額ー諸経費)ー建物の減価償却費

減価償却費とは、建物の経年劣化によって下がった建物の価値を表す費用で、土地には適用されません。
減価償却費を算出するには定額法と定率法の2種類があり、一般的には定額法で計算します。定額法の場合は物件の購入代金のうち建物代金に、0.9を掛けたものに償却率と呼ばれる1年で失う建物の価値を耐用年数に応じて定められた割合を掛け、そこに経過年数を掛け合わせて算出します。

減価償却費=建物の購入代金×0.9×償却率×経過年数

[ Step2 ] 特別控除額を差し引く

譲渡所得を算出したのち、3000万円特別控除など適用される特例がある場合は、その特別控除を差し引いて課税譲渡所得を求めます。課税譲渡所得とは、税率を掛ける前に特別控除を差し引いたもののことをいいます。

課税譲渡所得=譲渡所得ー特別控除額

[ Step3 ] 税率を掛ける

課税譲渡所得が算出できたら、そこに税率を掛ければ譲渡所得税が計算できます。所得税と住民税の税率は、売却する物件の用途と所有期間で変わります。物件の用途は、住宅など居住用不動産と事務所などの非居住用不動産に区分されています。
以下では居住用不動産の税率をご紹介します。

●居住用不動産の譲渡所得税率

所得の区分 短期譲渡所得 長期譲渡所得
所有期間※1 5年以下 5年超 10年超所有軽減税率の特例
税率※2 39.63%
所得税:30.63%
住民税:9%
20.315%
所得税:15.315%
住民税:5%
1)課税譲渡所得6000万円以下の部分
14.21%
所得税:10.21%
住民税:4%2)課税譲渡所得6000万円超の部分
20.315%
所得税:15.315%
住民税:5%

※1 譲渡した年の1月1日現在において、所有期間が5年以下か、5年を超えているかにより判断
※2 税率には復興特別所得税の2.1%相当が上乗せされています

また、復興特別所得税の税率は物件の用途や所有期間にかかわらず、2.1%で統一されています。復興特別所得税の課税対象は、売却した年の所得税になるので間違えないように注意しましょう。

不動産売却の手続きにかかる税金と計算方法

不動産売却にかかる税金は売却益が出たときだけに発生するものではありません。譲渡所得の有無にかかわらず、手続きの際に発生する税金があります。

譲渡所得税ほど大きな金額にはなりませんが、あらかじめ知っておく方が安心して売却が進められるでしょう。ここからは手続きにかかる税金の種類や具体的な金額、計算方法などをご紹介します。

相談するシニア夫婦

印紙税

印紙税は、不動産の売買契約書など課税文書と呼ばれる特定の書面にかかる税金のことです。収入印紙を書面に添付・消印することで納めるものになります。印紙税は書面に記載された契約金額によって変わります。納める税金の額の例は以下の表の通りです。

契約金額 印紙税額
100万円を超え500万円以下 2000円
500万円を超え1000万円以下 1万円
1000万円を超え5000万円以下 2万円
5000円を超え1億円以下 6万円

また2022年3月31日まで、不動産売買契約や建築請負契約などについては、特例として印紙税に軽減税率が適用されます。適用された場合の税金の額の例は以下の表のとおりです。

●契約金額が1000万円を超えた場合の印紙税額(2022年3月31日まで)

契約金額 印紙税額
100万円を超え500万円以下 1000円
500万円を超え1000万円以下 5000円
1000万円を超え5000万円以下 1万円
5000円を超え1億円以下 3万円

契約書に定められた金額の収入印紙を貼付し、消印しないと罰則の対象となり、添付しなかった場合は、必要な印紙税額のほかに印紙税額の2倍の過怠税が課されます。つまり、3倍の税金を支払うことになります。また、消印していなかった場合は、必要な印紙税額と同額の過怠税となり、こちらは2倍の税金を支払うことに。
収入印紙の貼り忘れはもちろん、消印が正しくされていないと過怠税がかかるので気を付けてくださいね。

登録免許税

登録免許税は、不動産や会社などの登記する際にかかる税金です。

登録免許税は、登記に際してかかる税金なので、登記事項があれば売主買主の双方に発生するものです。売主は物件購入時にローンを利用し抵当権が設定されていれば、その抵当権を外すための「抵当権抹消登記」、買主は不動産の所有者を売主から変更するための「所有権移転登記」や住宅ローンの「抵当権設定登記」にかかる登録免許税を負担します。

抵当権抹消登記の場合、かかる価格は不動産1個につき1000円です。また建物と土地はそれぞれ別の不動産と見なされるため、一戸建ての場合は建物と土地で合計2000円になります。

仲介手数料の消費税

仲介手数料は物件の売却を仲介してもらった不動産会社に支払う報酬で、消費税がかかります。また間違えやすいので参考までに説明しますと、売主が個人で消費税事業者でない場合、売却する物件に消費税はかかりません。

必要な税金を簡単にシミュレーションしてみよう!

不動産売却には譲渡所得税をはじめとする複数の税金がかかり、売却する物件の用途や所有期間によって譲渡所得税の税率が変わることやそのほかかかる税金についてご紹介しました。
それでは実際にいくらの税金がかかるのか、簡単にシミュレーションをしてみましょう!

家の模型と電卓

所有期間4年、購入価格3000万円のマンションを5000万円で売却した場合

・所有期間4年
・購入価格3000万円(うち建物価格2500万円)
・売却価格5000万円
・取得時の諸経費150万円
・譲渡時の諸経費250万円
・特別控除なし

[ Step1 ] 譲渡所得を把握する

取得費を求めるためにまず建物の減価償却費を算出します。

建物の減価償却費 = 建物の購入価格2500万円 × 0.9 × 償却率0.015 ×所有期間4年 = 135万円

次に取得費を求めます。
購入価格3000万円 + 取得時の諸経費150万円 - 建物の減価償却費135万円
= 3015万円

そして、譲渡所得を求めます。
譲渡所得 = 売却価格5000万円 - (取得費3015万円+譲渡時の諸経費250万円)= 1735万円

[ Step2 ] 特別控除額を差し引く

自分が住んでいる住宅を売却した場合、過去に所定の特例税制などを利用していなければ、3000万円の特別控除が適用されます。適用された場合の課税譲渡所得を求めると

課税譲渡所得 = 譲渡所得1735万円 - 特別控除3000万円 = 0

計算後、マイナスの場合は0とします。

[ Step3 ] 税率を掛ける

譲渡所得税の税額 = 課税譲渡所得0円 × 短期譲渡所得税率39.63% = 0円

よって、特例控除が適用になった場合では譲渡所得課税はかからないことになります。

もし特例控除がなかった場合は以下の通りです。
譲渡所得税の税額 = 課税譲渡所得1735万円 × 短期譲渡所得の税率3963% = 約687.5万円

シミュレーションでは特例が適用になり、譲渡所得税がかかりませんでしたが、特例控除が適用されない場合は約687万円もの税金がかかることに。こうした特例は売却した翌年の確定申告で申告しなければ、適用されません。売却益が発生する場合は、特例などを確認して必ず確定申告を行うようにしましょう。

また、このほか印紙税や登録免許税、仲介手数料にかかる消費税も必要になります。

節税のために利用したい特別控除・特例4つ!

譲渡所得税といった、売却益が出た場合に高額になる税金を少しでも節約するにはどうしたらよいのでしょうか?売主の節税対策として知っておきたいのが、不動産売却時に適用される特別控除や特例です。

特別控除や特例はいくつかの種類があり、それぞれ適用条件が異なります。売却する物件や取引条件と照らし合わせながら、どの控除や特例が使えるかをチェックしてみましょう!

机に並べられた家の模型

[ 1 ] 居住用の物件:3000万円特別控除

3000万円特別控除は、売却で得た利益(譲渡所得)から最大3000万円の控除を受けられる制度です。居住用財産と呼ばれる居住を目的とした物件が対象で、賃貸用のマンションやアパートは含まれません。

この制度が適用されると譲渡所得税を大きく抑えることができます。たとえば物件の所有期間が10年超で譲渡所得が3500万円だった場合の譲渡所得税の違いを見てみましょう。

●︎所有期間10年超、譲渡所得3500万円の場合
特別控除なし
課税譲渡所得3500万円×税率14.21%=譲渡所得税497.35万円

控除あり
課税譲渡所得(譲渡所得3500万円-特別控除3000万円)×税率14.21%=譲渡所得税71.05万円

このように控除が適用されることで426万円も違いが出ます。さらに、譲渡所得が3000万円以下であれば譲渡所得税は0円、つまり譲渡所得税がかからなくなるのです。

3000万円特別控除の注意点
メリットが大きい3000万円特別控除ですが、いくつか注意点があります。

まず1点目が売却後に新しく物件を購入する際に、住宅ローンの控除が受けられないことです。物件を購入する予定がある場合はどちらの控除が得かを事前に計算しておきましょう。

2点目は、原則として所有者が物件に住んでいる必要があることです。たとえば売主が老人ホームに移り住んでいる場合は、物件に住んでいるとは認められません。ただし、転居してから3年目の年末までに売却すれば控除の対象になります。

最後の3点目は、原則として相続したマイホームは対象外になることです。ただし、相続した住宅でも、条件を満たせば対象となる「被相続人の居住用財産(空き家)の3000万円特別控除」があります。

詳しい要件については国税庁公式ページをご確認ください。

[ 2 ] 所有期間10年超の物件:軽減税率の特例

売却物件が居住用財産で、所有期間が10年超(売却した年の1月1日において10年を超える)であればこの軽減税率の特例が適用されます。通常、所有期間が5年超の長期譲渡所得であれば税率は20.315まで軽減されます。さらに、この特例は前述した3000万円特別控除と併用できる点が大きなポイントなので、条件に該当すればぜひ利用しましょう!

詳しい要件については国税庁公式ページをご確認ください。

住宅街

[ 3 ] 特定居住用の物件:買い替えの特例

売却した年の1月1日時点で、所有期間10年超かつ自ら居住していた期間も10年以上である自宅を買い換えた場合、譲渡益に対する譲渡所得税を将来に繰り延べられる特例が適用できる場合があります。この特例は課税が無くなるわけでなく、買い換えた自宅を将来売却したときに譲渡所得税が上乗せされる仕組みです。

売却して譲渡益が発生する場合に、売却金額よりも新しく買い替えた住宅の購入金額が高い場合は、その時点で譲渡所得課税はされず、将来買い替えた住宅の売却時までに繰り延べられます。
逆に、売却金額より新居の購入金額が低い場合は、購入金額と同じ額までは繰り延べられますが、差額には譲渡所得税がかかります。
この特例は2021年12月31日までにマイホームを売却した場合に限ります。

そのほか要件がありますので、詳しい要件については国税庁公式ページをご確認ください。

[ 4 ] 相続した空き家の3000万円特別控除

相続した空き家を売却する場合も、一定の条件を満たすことで3000万円の特別控除が適用されます。この特別控除は、2023年12月31日までに売却することが必要です。
通常の3000万円特別控除では相続したマイホームは対象外なので、条件が合えばぜひ活用したいところです。

しかし、その条件が「昭和56年5月31日以前に建築されたこと」や「区分所有となるマンションには適用されない」「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること」など複雑で数も多くなっています。売却物件が該当するか分からないときは、税理士などの専門家に相談してみるのもおすすめです。

詳しい要件については国税庁公式ページをご確認ください。

不動産売却でかかる税金の納付時期や納付方法は?

不動産売却にかかる税金は、譲渡益が出た場合の譲渡所得税や印紙税、登録免許税など、さまざまな種類があることをご紹介しました。これらの税金は納める時期や方法がそれぞれ異なるので、あらかじめスケジュールを把握しておけばスムーズに売却を進められるでしょう。

下記で税金ごとの納付時期と方法をまとめましたので、チェックしてみてくださいね。

カレンダー

●不動産売却でかかる税金の納付時期

納付時期 納付方法
印紙税 売買契約を結んだとき 収入印紙を購入し、契約書に貼付、消印する
登録免許税 抵当権の抹消登記など登記申請したとき 収入印紙で納付
譲渡所得税
(所得税)
物件の引き渡しが完了した翌年の確定申告後 所得税の確定申告を提出後、納付書で納付
譲渡所得税
(住民税)
物件の引き渡しが完了した翌年の確定申告後 確定申告をした場合、給与所得者は手続き不要
普通徴収では、別途納付書で納付
復興特別所得税 所得税と同じ 所得税と同じ

税金に関する知識を持っておくことは、不動産売却においても外せないポイントです。とはいえ、全ての税金の種類や仕組みを覚えるのは難しいものです。

まずは、どのような税金がどのタイミングでどれだけかかりそうか?控除や特例は適用されそうか?などポイントを絞って確認することから始めてみましょう!正しい税金の知識を持つことが、損をしない不動産売却の第一歩になるはずですよ。

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