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暖房器具に頼らない、セルフ断熱に挑戦してみた | ホームセンター「スーパービバホーム」の断熱アイテムで、部屋はあったかくなるの?

賃貸物件は持ち家に比べ、断熱性能が劣ると言われている。もちろん、高級マンションなどは別として、昔ながらの木造や築年数が古い賃貸アパートは“寒い”イメージがある。

かくいう筆者の住まいはというと、まさにそんな「築年数の古い賃貸アパート」。気密性は低く、隙間風がビュンビュンと吹きこんでくる。特に朝方は冷え込み、布団から出るのも一苦労。できることならば、春になるまでこのままでいたい。

エアコンやストーブなどの暖房器具に頼ってもいいのだが、我が家のような断熱性の低い家は冷暖房の効率も悪い。くわえて、コストが嵩み、エコではない。となると、選択肢は1つ。根本から「アパート寒い問題」を解決しなければならないのだ。

そこで目をつけたのが、ホームセンターで売っている断熱材。賃貸物件のため、壁の内側を施工することは難しいが、壁や窓に一工夫することでいくらか暖かくなるのではないだろうか。そこで、今回はセルフ断熱を試み、過ごしやすい部屋に改造してみた。

■ホームセンターで買える断熱材ってどんなものがあるの?

というわけで、訪れたのは住まいと暮らしをプロデュースするホームセンター「Super VIVA HOME」。DIYからリフォームまで住宅関連の用品・資材が販売されており、断熱系のアイテムも豊富に揃っている。

とはいえ、筆者はどのアイテムが断熱に効果的なのかが全くわからない。そこで今回はDIYアドバイザーの資格を持つ、スタッフの武藤さんにアドバイスを乞うことにした。

筆者「単刀直入にお聞きしますが、断熱アイテムで寒さって変わるのでしょうか?」

武藤さん「もちろん! アイテム自体に暖房効果はありませんが、断熱効率が高ければ高いほど部屋の保温時間は長くなるため、防寒対策になります。ずばり、断熱のポイントは『空気層』をつくることです。そうすれば、外の冷気を部屋に入れず、部屋の熱も外に逃がしませんよ」

筆者「空気層か……。いまいちピンと来ていませんが、よろしくお願いします!」

●窓の断熱アイテム編

武藤さん「はじめに、冷気を取り入れやすい窓まわりの対策をしましょう。こちらは窓ガラスに貼って断熱する『窓ガラス断熱シートフォーム』。3層シート約3.5mm厚の空気層が窓ガラスの熱の伝わりを抑え、部屋の熱が外に逃げるのを防いでくれます」

筆者「このプチプチが空気層ってことですか?」

武藤さん「はい。さらに断熱だけでなく、結露を防止し、暖房効果アップしてくれる優れものです」

武藤さん「水を吹きかけるだけで簡単に貼ることができ、最近はオシャレな形をしたシートも販売されているので購入される方も多いんです」

筆者「なるほど、これはマストアイテムですね」

武藤さん「窓のサッシ枠である金属部分には『断熱テープ』を貼りましょう。熱が伝わりやすい金属部分にテープを貼るだけで、暖房効果を高めてくれますよ」

筆者「僕の家、隙間風がすごいんですけど、何か有効なアイテムありませんか?」

武藤さん「小野さん宅のように開口部に隙間があると、冷たい隙間風が吹くだけでなく、部屋の熱も逃げやすくなってしまいます。そこで、戸当たり部分にスポンジ素材の『すきまテープ』を貼ることで、開口部の隙間が埋まり、気密性が高まりますよ」

筆者「おぉ〜」

武藤さん「窓のほかにドアの隙間にもオススメです。あとは、カーテンを厚手の生地に変えることで外からの冷気の侵入を防ぎ、部屋を保温してくれます。また、レースカーテンを組み合わせることで、より防寒対策につながります」

筆者「この3つだけでも、すでに結構な断熱効果がありそうですね」

●壁の断熱アイテム編

武藤さん「こちらのスタイロフォームは一般住宅をはじめ、建物の断熱材として多く利用されています。安価で加工もしやすい上、非常に熱を伝えにくい性質を持っています。DIYの断熱にはうってつけですね」

筆者「厚さが一つひとつ違うようですが?」

武藤さん「厚ければ厚いほど断熱効果は高いです。しかし、普通の発砲スチロールに比べてスタイロフォームは非常に密度が濃いため、今回は40mmでいいと思います。これも空気層の1つですよ」

武藤さん「さらにロックウールは、繊維間に動かない空気がたくさん詰まっているため、熱の移動を防ぐことができます。断熱性をはじめ、保湿性、吸音性、耐火性にも優れているのが特徴です。いかがですか?」

筆者「スタイロフォームにロックウール。名前もかっこいいので気に入りました!!」

武藤さん「では、ぜひ取り入れてみてください。いずれも両面テープを使えば、賃貸物件でも簡単に取り入れられますから」

武藤さん「ただ、スタイロフォームがむき出しになっているのも不自然なので、目隠しに壁紙を貼りましょうか。こちらは、裏面に生のりが付いており、素人の方でも簡単に貼ることができます」

武藤さん「また、壁紙のほかにもディアウォール(※)を使ってスタイロフォームを隠すのも1つの手ですね。もしくは、本棚などの大きな家具を前に置いたり、ポスターを貼って目隠しするのもいいかもしれません」

筆者「武藤さんはアイディアがホームセンター並に豊富ですね」

ディアウォール…室内に柱を作れるアイテム。壁に傷や穴が開くことがないため、賃貸物件でも飾り棚や壁面収納など、自由自在なインテリアが楽しめる。

●床の断熱アイテム編

武藤さん「床には、アウトドアで活躍するアルミシートを敷きましょう。アルミシートは床からの冷気を遮断してくれますし、保温性が高いので電気代の節約につながります。15mm厚もあれば、クッション性も抜群です」

武藤さん「しかし、これだけ敷いていては違和感がありますよね。例えば、ホットカーペットやラグの下に敷いておけば、より暖かさが感じられ、心地よくなると思います。とりあえず、これだけ揃っていれば、かなり断熱効果があるんじゃないでしょうか」

筆者「たくさん教えていただき、ありがとうございました!!」

■部屋は本当に暖かくなるのか? 実際にやってみた

というわけで、我が家に必要な断熱アイテムが揃った。さっそく、改造を始めよう。

と、その前に気温をチェック。改造前の部屋の気温は18.5度。

そして、外の気温は17.9度。室内の気温と比較すると0.6度しか変わらないことがわかる。(なるほど、筆者の部屋って外にいるのと大して違わなかったわけね〜)

ならば、改造してやろうじゃないか! 助っ人に友人を呼び、作業に取り掛かる。

まずは、「断熱シートフォーム」を張るために窓のサイズにカットしていく。

次に乾拭きした窓を濡らしていき、

そこにカットした「断熱シートフォーム」を貼り付けるだけ。とっても簡単である。

筆者「空気って熱が伝わりづらいわけよ。だから空気層を作ることが大事なわけ」

友人「なるほど、知らなかったわ」

続いて、サッシの金属部分に「断熱テープ」を貼っていく。

筆者「逆に金属は熱が伝わりやすいからテープで断熱してあげるわけよ」

友人「へぇ〜これまた知らなかったわ」

そして、開口部の隙間には「すきまシート」を挟んでいく。

もちろん、ドアにも。

筆者「開口部の隙間を埋めることで、気密性が高まるわけよ。これが断熱ね」

友人「はぁ〜すごいな。断熱について詳しいんだね」

筆者「これくらい、常識だよ!」

隙間風をシャットアウトしつつ、友人には先輩風をビュンビュンと吹かしておいた。

それはさておき、ここからは土木建築業を営む父親が参加。壁の断熱改造に移っていく。

父親「スタイロフォームっていうのはな、本来は壁の中に使うわけ。一般的には木材で骨組みしたところにロックウール、スタイロフォーム、石膏ボードをはめ込んでいき、最後に壁紙を貼るんだよ。だから……」

筆者・友人「つかまった……」

やはり、本職の血が騒いだのだろう。長い解説が始まってしまった。とはいえ、素人の筆者達からしたら現場を知る人間がいることは心強い。素直にアドバイスを聞いていこう。(前にもこんなことあったな)

賃貸物件のため、壁に両面テープを貼り、そこにロックウールを貼っていく。

そして、ロックウールを覆うようにスタイロフォームを設置。

父親「少しでもズレると壁紙を貼る時に面倒だからな! 慎重に貼れよ!」

後ろから父親のプレッシャーを受けながらも、なんとか貼ることができた。

と思った矢先、父親がスタイロフォームの設置に失敗した。

なんてことだ。どっからどうみても隙間が空いているじゃないか……。

ただ、ここから図らずも父親の口数が減ったので、まあ結果オーライかもしれない。

気を取り直して進めていこう。

黙々と作業を進めた結果、思ったより早く貼り付けが完了した。

この光景だけでカッコよく見えるのは筆者だけだろうか(たぶん筆者だけだろう)。「打放しコンクリート」ならぬ「むき出しスタイロフォーム」である。

続いて、壁紙を貼っていく。

まずは、床から天井までの長さを測り、壁紙をカットしていく。父親いわく、ポイントは先ほど測った長さに切りしろ分、10cmを加えてカットするとのこと。

あとは、上から貼り付けていくだけ。壁紙は裏面の生のりが乾くまでなら何度でも貼り直しが効くため、初心者でも安心である。

ちなみに撫で刷毛(なでばけ※)を使うと、途中で空気が入ったり、しわができないそうだ。

撫で刷毛…壁紙や天井などにクロスを貼り付ける際、仕上げに用いられる道具。毛足は短く、クロスの表面を傷つけないよう柔らかな毛が使用されている。

最後に余った部分を地ベラとカッターでカット。この工程を繰り返していく。

父親も先ほどのミスを取り返すべく積極的にアドバイスし、作業を手伝ってくれた。

なお、2枚目を貼る場合、1枚目と2枚目を5cmほど重ねて貼るのもポイントだという。壁紙を重ね合わせた部分の中央を上から下まで、2枚一緒にカットすることで綺麗に仕上がるんだとか。

最後にローラーで壁紙のつなぎ目部分をコロコロと転がしていく。こうすることで、さらにつなぎ目が目立たなくなる。

気がつけば、陽が落ちてきてしまった。一気にラストスパートをかける。

カーテンを厚手の素材に変え、レースカーテンも取り付けていく。

仕上げにアルミシートを敷き、その上にラグを配置。寝転んでみると、畳とは違った肌触りで気持ち良かった。

以上で半日かかった断熱部屋改造工事が終了。気になる、断熱の効果はいかに……!

■断熱アイテムのおかげで快適な部屋になったのだろうか?

こちらが生まれ変わった筆者の部屋である。今はパーカーを脱ぐほど暖かさを感じている。いや、それはたぶん作業を終えたばかりで身体が火照っているからである。

というわけで、いったん外でクールダウンをしてから、再び部屋へ戻ってきた。

断熱材で壁を作り、窓からの冷気をシャットアウトしたことで、部屋の気温は一定に保たれているように思えた。また、個人的には隙間風が収まったことで寒さが和らいだ印象。これならば、暖房器具を使っても外に熱が逃げることなく、暖気が充満していくことだろう。

ちなみに気温を計測してみたころ、外の気温は18.8度。

そして、室内の温度は20.8度。外と気温差は2度になった。つまり、改造の実施前後では1.5度ほどの効果があらわれたことがわかる。

数字では大した差は出なかったものの、体感としては5度以上は暖かいように感じられた。ちなみに、経済産業省・資源エネルギー庁の「家庭の省エネ徹底ガイド」によると(※1)暖房の設定温度を21度から20度に1度下げた場合、年間で約1430円の節約になるそうだ。さらに(※2)使用する時間を1日1時間短縮するだけで年間1100円の節約になることがわかった。これから寒さが厳しくなってくれば、もっと差が出ることだろう。そんな期待も込めて、今回の試みは成功ということにしたい。

さらに、今回の改造は冬だけでなく、夏にはエアコンの冷気を逃がさない対策にもなるため、1年を通した節約対策になるそう。どうやら、断熱以外にも様々な副産物を得たようだ。

※1 外気温度6℃の時、エアコン(2.2kW)の暖房設定温度を 21℃から 20℃にした場合(使用時間:9 時間/日) ※2 設定温度20℃の場合

というわけで、今回は断熱アイテムを使い、快適な部屋をつくることができた。部屋の暖かさをキープするだけでなく、電気代の節約にもなるため、皆さんもぜひ取り入れてみてはいかがだろうか。なお、今回は材料費に4万円ほどかけてしまい、財布の中身が寒くなってしまった。こちらの防寒対策もなんとかしたい。

【取材協力】
スーパービバホーム新習志野店
https://www.vivahome.co.jp/shinnarashino_svh/

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