【私が長距離通勤をする理由 Vol.3】  〜生活の一つひとつが学びであり、刺激であり、楽しい軽井沢の暮らし〜

昨今は職場の近くに住む「職住近接」のライフスタイルが注目されているが、一方で、何らかの理由で長距離通勤を選んだ人もいる。高速バスや特急電車、なかには新幹線を使い、都内へ2時間近くかけて通勤する長距離通勤者たち。なぜ、そうまでしてそこに住んでいるのだろうか? 単純にその街が好きということもあるだろうし、あるいは何かやむにやまれぬ事情、知られざるドラマがあるのかもしれない。

連載第3回目は、夏の避暑地として人気の長野県軽井沢に移住した櫻井泰斗さんを訪ね、長距離通勤と引き換えに手に入れた暮らしについてお話を伺った。

■職住近接の暮らしをやめたかった

長野県の東信地方に位置し、古くから旅行客でにぎわってきた日本有数のリゾートタウン・軽井沢。櫻井さん自身はそう頻繁に訪れていたわけではないというが、2015年4月にここへ移住した。東京都心へ勤務する櫻井さんが、なぜ約2時間の長距離通勤を厭わず軽井沢を選んだのだろうか?

▲旅行サイトの運営会社に勤めている櫻井さん

櫻井泰斗さん(以下泰斗さん)「移住前は自宅から職場まで30分圏内でしたので、休みの日も職場に行っていました。いわゆる職住近接の生活で、完全にワーカホリックでしたね。仕事が楽しい反面、夫婦の時間は少なく、私生活が充実していないことに気づいたんです。だから、いっそのこと休日は出勤しようと思わないくらい遠い場所に住もうと思ったんです」

——軽井沢はどのような経緯で移住先として選んだのでしょうか?

泰斗さん「元々、軽井沢は頻繁に訪れていたわけでもなく、当初は熱海や那須塩原などのエリアも候補地として考えていました。軽井沢にしたきっかけは、大学の友人がここでペンションを経営していたことです。友人のつてで訪れてみると、意外と東京に近く、断熱をしっかりすれば住みやすいエリアだということを肌で感じられたんです。また、妻が長野市出身ということもあり、移住先に決めました」

——決意されてから、実際に移住するまではどのくらいの期間だったのでしょうか?

泰斗さん「初めて軽井沢を訪れたのが、2014年の8月。だいたい1年弱は慎重に検討を重ねました。というのも、軽井沢の冬を経験しておかないとと考え、すぐには決断ができなかったんです。それで、その年の12月に新幹線を使い、通勤のシミュレーションを兼ねて短期滞在してみました。やはり想像以上に寒いエリアでしたが、冬の生活者目線を理解できたのは大きな経験だったと思います。そして、翌年の4月から軽井沢での生活を本格的にスタートさせました」

■移住から2年後に建てたマイホーム

職住近接の生活から抜け出した櫻井さん。はじめはトライアル期間を設け、少しずつ軽井沢に慣れていったそうだ。また、櫻井さんが移住を決意した理由は他にもあったという。

泰斗さん「個人的には長距離通勤を選択する人が今後、増えると思っていました。というのも、私が場所を問わずに働ける仕事だったこともありますが、これからはリモートワークが増え、どんどんとライフスタイルも多様化していくだろうという直感があったんです。この仮説は合っているのか、自分が理想とするような働き方は成り立つのか、自分自身で試したかったのも長距離通勤を選択した理由の1つです」

——現にリモートワークは広がりをみせていますしね。

泰斗さん「私の中では、自らこの試みをするということが大事だったんです。妻を巻き込み申し訳ないという気持ちもありましたが、実験的にやってみたい気持ちが強かったんですよ。だから、成功失敗に関わらず、私がブログで記録を取ることがきっと誰かの参考になり、多様なライフスタイルが広がることの一助になると思っていました」

——奥様(以下裕子さん)は正直、どう思われていましたか?

裕子さん「私は長野市出身なので軽井沢って聞いた時は正気の沙汰ではないなって思いました(笑)。夏でもセーターを着る寒さなのに、冬はどう過ごせばいいの?って不安しかなかったですよ。土地柄を知ってるからこそ、身構えていたのが本音です。でも、夫の挑戦したい気持ちは揺らがなかったので、ついて行きましたけど」

——泰斗さんは知らないからこそ、軽井沢を選択できたんですね(笑)。移住初期は賃貸を借りていたそうですが?

泰斗さん「はい。最初の2年間はトライアル期間のつもりで賃貸を選びました。自信はあったのですが、もちろん不安もあり、妻とは“ここでの生活がうまくいかなかった場合は、東京に戻ることがいつでもできる”それくらいの気楽さで始めようと話していました。そのため、まずは通勤に慣れるため、軽井沢の駅前で一戸建てを借りたんです」

——そのトライアル期間を経て、2016年に土地を購入し、2017年にはこちらの家を建てられています。本格的に根を下ろす決意をされたということでしょうか。

泰斗さん「ここに家を建てることまでは想像していませんでしたよ。ただ、生活していくうちにだんだんと冬も快適に過ごせるようになり、もしかしたら軽井沢に戸建てを建てるのも悪くないかなって考えるようになったんです。そして、2016年にこの土地を見つけ、1週間後に購入しました」

——1週間!? また急な展開ですね。

泰斗さん「賃貸ながらも軽井沢で生活をしていたので、ある程度の土地勘もあり、間違いないだろうという確信がありました。この追分エリアは軽井沢駅から離れていますが、お店は点在しており、物価も多少下がるので生活圏としては最高でした。実は駅周辺って湿度が高く、夏は渋滞が発生し、住むには適していないんですよね。また、休みの日は町外に出ることが多く、追分は毎週末のように車で通っていたこともあり、わざわざ駅前に住む必要がなかったんです。あとは、浅間山の噴火といった天災なども考慮し、比較的災害リスクが小さいと思われる、台地の上にあるこの場所を選びました」

——木々に囲まれ、気持ち良い場所ですよね。

泰斗さん「こういった自然豊かな場所に住むのなら、四季の移り変わりを楽しめる土地がいいなって思ってましたから。ここはナラの木が多いんですよ。ナラは広葉樹で落葉するため、紅葉シーズンはとても綺麗なんです。もちろん、落ち葉掃除は大変ですし、冬は寂しい景色になりますが、代わりに雪が降るとピクチャーウィンドウみたいで癒されますよ」

——間取りもこだわりましたか?

泰斗さん「そうですね。朝日の昇る東側の窓は大きくして、光を取り入れやすくしました。ここは東西に長い土地なので、季節によっては、まっすぐ日が差して気持ち良いんですよね。住宅街で建てることも可能ですが、まわりの自然や地形といった、土地の良さを考えながら家づくりが楽しめるのも田舎暮らしの魅力だと思います」

——なるほど。自由に設計できるのは楽しそうです。

泰斗さん「あとは、家庭菜園にも興味があったので裏に小さな畑を作りました。薪ストーブから出た灰や生ごみ処理機の堆肥を肥料に使っています。小さなエコシステムですが、循環する暮らしというのは、なかなか学びが多くて楽しいですよ」

■通勤時間、往復約5時間の櫻井さんの日常

櫻井さんの出勤は自家用車と新幹線を乗り継ぎ、片道およそ2時間半の道のりとなる。そんな櫻井さんの日常を見ていこう。

——櫻井さんの平日の流れを教えてください。

6:30 起床

7:10 自宅を出発

7:42 軽井沢駅を出発

8:56 東京駅に到着

9:02 東京駅を出発

9:25 恵比寿駅に到着

9:30 オフィスに到着

勤務中

17:25 オフィスを出発

17:35 恵比寿駅を出発

17:59 東京駅に到着

18:04 東京駅を出発

19:10 軽井沢駅に到着

19:40 自宅に到着

23:30 就寝

泰斗さん「家からオフィスまではドアtoドアで2時間半弱くらいですね。まず、行きは30分かけて軽井沢駅まで車で向かっています。そして、帰りは20時には家で食事できるようにしています。できるだけ、このペースは崩したくない。食事後はプロジェクターで映画を観たり、マッサージチェアから外を眺めています。冬は薪ストーブの前で妻と団欒するのが楽しいですね」

——やはり、家での時間は充実していますね。

泰斗さん「自宅での時間を少しでも長く確保するために、日々ロスタイムなく働けるよう心がけていますから。私の仕事は海外とのやりとりがあるため、時間的にイレギュラーなことが多いんです。例えば、アメリカと会議がある時は、朝の7時から家のパソコンで仕事を始め、お昼に東京へ向かうといった1日もあります。どこで何をするか、いかに時間を効率的に活用するかを考えるのも長距離通勤のポイントですよ」

——新幹線の中では、なにをしていますか?

泰斗さん「新幹線では、朝ごはんのフルーツを剥いて食べています。それが終わったら、ニュースやメールをチェックし、出社後すぐに作業やミーティングに取りかかれる状態にしています。いわば、ウォーミングアップの時間です」

——しっかり時間を有効活用されていますね!僕だったら、スマホをいじるか、寝てしまいそうです。

泰斗さん「新幹線は資料作りなど作業的な仕事に向いているんですよ。時間が決まっているため、降りるまでにこの業務を終わらせないといけないという程よいプレッシャーもあって、集中できるんです。また、家ではクリエイティブな仕事が向いています。自然の中を散歩することで、ヒントや癒しを与えてくれますから。そして、オフィスでは主に雑談ですね。人と話すことでアイディアを蓄えたり、ブレストで仕事を進めることができるんです。環境によって、向いているタイプと向いていないタイプの仕事があることに気づいたのも、長距離通勤をして学んだことの一つです」

——仕事の内容に合わせ頭を切り替えられるから、捗りそうですね。ちなみに、長距離通勤ってどんな人が向いていると思いますか?

泰斗さん「じつは忙しい人ほど向いているんじゃないですか? 通勤時間は長いですけど、満員電車で行くよりはずっと快適ですし、往復で2時間も自分だけの時間が確保できますからね。移動時間の制約を意識して仕事すると、嫌でもメリハリがつきますよ。特に東京駅付近に勤めている方にはオススメです。生活面においては、地方にも魅力を感じている人。地域の方とコミュケーションとったり、家庭菜園に興味があったり、地方の良さを味わいたい人には向いていると思いますよ」

——休日も充実しそうですしね。泰斗さんは、休日をどのように過ごしていますか?

泰斗さん「今の季節だと、薪の準備や落ち葉掃除など家の仕事がメインですね。私は平日パソコンを使っているのでアナログな仕事が息抜きになるんです。あとは、直売所に通うのも楽しみの一つです。生産者の顔が見え、かつコミュニケーションが取れるってなかなかの贅沢だと思いませんか? あと、見たことのない野菜が置いている時は直売所の方に調理法を聞いています。なぜなら、生産者は美味しい食べ方を知っていますから」

裕子さん「それと、家の前は畑なんですけど、採れたての野菜をいただいた時は味の違いに驚きましたね。輸送経路を通ってない分、鮮度が良く、今まで食べたことのない味わいだったんです。毎日、農作業を見ていると野菜を育てる苦労も実感できます。おかげで食のありがたみを再認識しました。こういった一つひとつが、生活の豊かさにつながっているような気がします」

——食材に恵まれていることで料理が好きになったり、毎回の食事も楽しみになりそうです。

泰斗さん「そう思います。特に冬は薪ストーブ料理が楽しいですよ。この1台で煮たり、焼いたりできるので重宝しています。今までパエリアやピザ、ローストチキン、アップルパイと様々な料理を作ってきました。さらに、このストーブは上部が開くので網を敷けば家でバーベキューもできる優れものです」

——うらやましい…。食もですが、長野といえばアウトドアのフィールドとしても魅力的ですよね。

泰斗さん「はい。移住して間もない頃なんかは、土曜日は“起きた瞬間からレジャーが始まる”感覚でしたね。軽井沢は白馬のスキー場や草津の温泉にもすぐアクセスできますから。また、海なし県なんですけど、ちょっと車を走らせれば北陸エリアも近い。思ったよりも気軽に海の幸を楽しめることもわかりました」

——ここに住むと、アクティブになれそうですね。

泰斗さん「東京にいた頃は、お金を使って娯楽を見つけていました。でも、今はあまりお金を使わなくても、楽しいことにたくさん出会えます。気持ちにゆとりが生まれ、肩肘張らずに遊べる。改めて、この地に移住して良かったと思いますよ」

■人との出会いからアウェイの地がホームに

——軽井沢って移住者が多いのでしょうか?

泰斗さん「別荘地に関しては、11月までは住んでる方が多いです。特に引退された方が多いですね。ただ、普通の田舎だと、昔から住んでいるコミュニティに入り込むのって難しいイメージがありませんか? でも、この街は外の人を受け入れて発展してきた背景があります。古くは宿場町だったため、交流が盛んな街でした。その後、宣教師のアレキサンダー・クロフト・ショーが訪れたことをきっかけに別荘や観光客が増えてきました」

裕子さん「外からの人間や文化を取り入れることで知見を蓄え、発展してきた街なんです。だから普通の田舎と違うのは、常にオープンな土壌があるということ。だから、私達のような移住者も住みやすいんだと思います」

——確かに、地元のコミュニティに受け入れられるか不安で、一歩踏み出せない人も多いと思います。でも、その土地の背景や歴史を事前に調べることで、移住者への対応もある程度は読み解けるかもしれませんね。

裕子さん「そうですね。ちなみに、移住者の中には飲食店を始められる方も少なくありません。というのも、軽井沢は東京よりも賃料が安く、素材も良いものが近くに集まっているので飲食店経営には有利な土地なんです。また、観光客も多く、購買欲のある方が多く住まわれています。だから、毎年のように新しいお店がオープンしているんです。特にカフェは人口比だと、原宿よりも多いらしいですよ」

——商売を始めるとなれば、より地域に溶け込む必要がある。それができるのも、軽井沢のオープンな風土を表しています。これからも移住者は増えそうですね。

泰斗さん「おそらく増えるでしょうね。昔は地域の縁がないと、移住って難しい選択だったと思います。でも、今はSNSやブログで情報発信している人が増え、同じような状況の人が見つけやすくなりました。だからこそ、私たちもネット上でのつながりは大事にしています。移住から5年ほどが経過しましたが、まだまだ学ぶことは多いですし、また『庭掃除するからブロワーを貸して』とか『白菜が余っているので誰かいりませんか?』のような地域のネットワーキングは広げていきたいですから」

泰斗さん「また、ネット上だけではなく、直接の交流も大事にしています。たまにSNSで出会った方と、懇親会を開催したり、地元のスポーツサークルなどのコミュニティに参加しているんですよ。そこには、地元の農家さんをはじめ、移住者の方、外国人の方まで幅広い人が集まります。地元の方が威張ることもないですし、むしろ立場に関わらず、お互いに尊重する姿勢が感じられるんですよね。地方の別荘地であり、隣の人が常に住んでいるわけじゃない軽井沢だからこそ、つながりを大切にしているのかもしれません」

——地元の方、移住した方、双方が支え合う関係性が素敵です。交友関係も、どんどん広がっているのでは?

泰斗さん「はい。東京に住んでいた頃は、自分の交友関係って仕事の業界仲間か地元の友達か、くらい。意識はしてなかったんですけど、狭い範囲に自分で限定してしまっていたんですよね。でも、移住してからは庭師、木こり、フレンチシェフ、さらには同じように移住してきた銀行の元頭取、IT会社の執行役員など、異業種の方々と出会えました。きっと、そのまま東京に住んでいたら作れなかったであろう人間関係が築けた実感はあります」

——見事にバラバラな業種ですね。

泰斗さん「そういう方々とホームパーティーをすると、楽しいですよ。この前もパティシエの友人と我が家で食事した時には、ピザ生地の作り方やフルーツのカット方法を教えてもらいました。良い悪いを抜きにして、自分と同質な人間関係って楽だし、広がりやすいんですよね。でも、こういう縁もゆかりもない場所で、頑張ってネットワークを広げてみると意外と面白い副産物が生まれるんです。予想しなかった人間関係、これも移住の魅力だと思います」

——知識や興味の幅がどんどん広がり、人生が豊かになりそうです。

裕子さん「最初は誰も知らないところから始まり、徐々に知り合いが増え、今まで交わることのなかった人と関わることで、いろんな価値観を学ぶことができました。また、いろんな知り合いができたことで、街で出会った際に『やっほー』って挨拶できるのが嬉しいんですよね。アウェイな土地なのに、徐々にホームになっていく。今は、自分の街だなって実感することができています」

■消費することだけが人生の楽しみじゃない

——こちらに住むことで、東京にいる時と変わったことはありますか?

泰斗さん「諦めることを覚えました。東京にいる時は若かったですし、頑張ればなんでも解決できるという思考でした。でも、今は無理をせず、与えられた時間や環境の中でベストを尽くせばいいんじゃないかなって思考に変わりましたね」

——それはなぜでしょうか?

泰斗さん「やはり、季節性だったり、自然災害など想定外の問題が続くと、人間の力ではどうしようもできないってことを嫌でも理解せざるを得ないからです。例えば、虫一つとっても、朝起きたら蟻が部屋に行列をつくっていたり、ガラスにカメムシが卵を産み付けたり、薪棚に蜂が巣をつくっていたり、次々と不足の事態が起こります。正直、万人に勧められる場所ではないかもしれません。仮に雪が降って閉じ込められたら、1週間くらい助けが来ないかもしれない。それが東京だったら人も多いし、インフラが整っています。コンビニに行けば食料がすぐ手に入るじゃないですか? 便利さ、合理性を考えたら、東京にはとても敵わない」

——そんなに過酷なのに、どうして住み続けるんですか?

泰斗さん「人によってはデメリットかもしれませんが、私たちは自分たちがどうやって生きていくか、毎回知恵を絞って、手を動かし、新しいやり方を模索するのが楽しいんですよね。『対処できなかった問題が解決できた』、『新しいことを発見した』という経験って、子どもの頃は多くなかったですか? あの時のワクワクさせてくれる気持ちや達成感が、生活の至るところにあるんですよね」

泰斗さん「言ってしまえば、東京は自分のブランディングや生活のデザインがしやすい環境なんですよね。でも、こっちでは思い通りに進むことなんて少なくて、こういう風にやれば幸せになるよって誰も教えてくれない。だから、何をどうすれば楽しいのか常に考え、自分自身でその答えを追い求めないといけないんです」

——大変だけど充実感がすごそう…。裕子さんも同じ意見ですか?

裕子さん「はい。木の枝を折る時って、音がするじゃないですか? 今ではその音によって、よく燃えるかどうかわかるんですよ。でも、これって雑誌やインターネットには載っていないし、自分の経験値で覚えるしかないんですよね。生活の一つひとつが学びであり、刺激であり、楽しさなんです」

泰斗さん「決められた箱の中で遊ぶのも楽しいですが、セオリー通りに進まない面倒や苦労だって、私たちには面白く感じられるんですよ。もちろん、東京でも幸せになれる形というのは提示されていたと思うし、それを実現するために生活することはできたでしょう。でも、『もしかしたら、別の形の幸せがあるかもしれない』ということには気づきにくい環境だと思うんです。私は東京も好きですが、こちらにはより幸せの形に多様性があるし、さらに言えば選択肢自体を自分でつくるところからスタートできるんです。これが長距離通勤をしながら暮らすことで見えてきたものですね」

——これからはどういう風に暮らしていきたいですか?

泰斗さん「家を建て、この暮らしを始めてまだ3年目です。きっとこれから5年、10年と住み続けたら、もっといろんな楽しみ方が見つけられると思います。昨年はこんなことしてたけど、今年は新しいことしてみようって。でも、それが何なのか今はわかりません。それは、自分らしい快適な生活を追い求めることや、ときに苦労を重ねることで、幸せな形が次々と見えてくると思うんですよね。それが毎シーズン……いや、毎日増えていくのが楽しみです」

(取材協力)
櫻井 泰斗
軽井沢から通勤するIT系会社員のブログ
http://www.sakuraitaito.com/
Twitter
@HelloKaruizawa

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