【私が長距離通勤をする理由 Vol.1】  〜景色を眺め、空気を吸い、人に寄り添う。逗子で見つけた幸せな暮らし~

■憧れの地に住み、自分自身を見つめ直したかった

麻衣さんが逗子に住み始めたのは2016年10月。山に近い高台に夫と一軒家を建て、現在は子ども、ペットとともに暮らしている。

なお、逗子は故郷でもなければ、親しい友人が住んでいたわけでもないという。では、なぜ縁もゆかりもなかった土地を移住先に選んだのだろうか。

麻衣さん(以下省略)「きっかけは25歳の頃に訪れた葉山のホテル。足を踏み入れた瞬間、自分の中でピピッと反応してしまったんですよね。ラウンジの窓から見える、ターコイズブルーの海、テラスに並んだ青色のパラソル、生い茂った山々。もう一目見た瞬間、葉山の景色に心を奪われてしまったんですよ。それ以来、“いつか葉山に住みたいな”という憧れの感情が芽生えるようになりました」

――それで、葉山にも近い逗子を選ばれたわけですね。

「夫婦ともに一戸建てが欲しくて、でも都内だといい土地に巡り会うことは稀ですし、コストも高い。そこで、郊外に目を向けてみた時に、葉山や逗子の風景を思い出したんです。もともと夫は札幌、私は仙台と、自然に恵まれた地域で育っていたこともあって、海も山もある葉山・逗子・鎌倉エリアは理想に近かったんですよ」

――逗子の中でも、今の土地を選んだ決め手は何だったのでしょうか?

「地元が仙台ということもあり、ハザードマップに引っかからない場所は重要でした。あとは、治安だったり、スーパーや学校等の住環境、駅までのアクセスなどを挙げていくと、希望の条件を満たす土地はあまり多くありませんでしたね。ただ、色々と条件を挙げたものの、最後に決め手になったのは美しい並木道。初めてこの場所を訪れた時に素敵だなと思い、すぐに決めてしまいました。その後、並木道の木々が桜ということを教えてもらってからは、春が待ち遠しかったです」

――最初に逗子に来たとき、どんな暮らしをイメージしていましたか?

「具体的なライフスタイルまでは考えていませんでしたが、移住を機に自分自身と向き合ってみようと思いました。東京にいると、友達に会いたい時には会えるし、物も溢れるほどに揃っているじゃないですか。でも、そういうものからふと離れてみて、自分にとって重要なものや大事にしたい軸は何なのか、じっくり考えてみたかったんです」

■超多忙な毎日でも、好きな景色で心のゆとりを取り戻す

夫婦ともに勤務先は都内にあるため、通勤は電車とバスを乗り継ぎ片道およそ2時間の道のりとなる。移動距離が長く、家事育児もあるため相当なハードワークと思われるが……、毎日どんな時間割で動いているのだろうか?
以下、平日の麻衣さんのスケジュールである。

5:20起床、自分の身支度 5:50家事 ※洗濯物の取りこみ(浴室乾燥で前日夜に干しておく)、ゴミ捨て 5:55軽めの朝ごはん 6:00柴犬もみじの散歩 6:30もみじのお風呂 6:40ベッドメイキング 6:45子どもに挨拶、朝の抱っこ(起きていれば) 6:50自分の着替え 6:55出発(朝は夫が子どもの送迎) 8:45職場到着、仕事開始 16:00帰宅 17:30保育園にお迎え 17:40自宅到着 17:45翌日の保育園の準備、連絡帳やお手紙確認 17:50子どもとの時間 18:15子どもともみじのご飯準備 18:30晩御飯 19:00家事 ※食器洗い、翌日のゴミまとめ 19:10子どもの歯磨き、子どもとの時間と家事 20:00お風呂 20:30寝かしつけ 20:45子ども就寝 21:00洗濯物干し 21:20歯磨きなど寝る支度(夫が帰宅。もみじの散歩の見送り) 21:30就寝

――まさに分刻みのスケジューリングですね。超多忙なのに、毎朝30分の犬の散歩も欠かさないのがすごい……

「家を建てる際、『絶対に柴犬が欲しい』と夫が話していました。それもあって並木道やこの土地の環境を魅力的に感じたんです。朝は特に空気が澄んでいますし、鎌倉まで続くこの並木道を歩いていると、30分もあっという間ですよ」

――心にゆとりがありますね。僕より全然忙しいのに、まるであくせくしていない……。

「それはやはり、ここの景色が大きいと思います。リビングの窓は、逗子の景色を存分に楽しめるよう限界まで大きくしたんですよ。窓辺にいると四季が移り変わっていくのを日々感じることができます。3月頃になると、桜の木の枝先がピンク色に染まり、そろそろ蕾が開き始めるのが分かるんですよ。そして、花が散ったあとの新緑に覆われる桜も好きですね。東京で暮らしていた頃は、そこまで自然に思いを馳せるなんてこともなかったですから」

――休日はどんな風に過ごしていますか?

「最近はソファーの前で家族のんびり過ごすことが多いですね。平日はあまり一緒にいられないので、お休みの時は日の光を浴びて、風を感じながら団欒しています。夕方になったら近所の公園や、家から徒歩20分の海まで歩いたり。あとは、たまに車で城ヶ島公園や鵠沼海岸、三浦海岸、小田原、大磯など、子どもと犬が遊べる場所に繰り出します」

「あと、産休中はよく都内の友人たちを招いてホームパーティーを開いていました。東京の人にとっては小旅行気分で来られる、ちょうどいい距離感みたいで(笑)」

■長時間通勤だからこそ、オンとオフを切り替えやすい

――逗子での暮らし、本当に魅力的だと思います。ただ、やはり毎日の通勤が嫌になることはないんでしょうか?

「そんなことないですよ。通勤中や日々の生活で小さな幸せを感じていますから(笑)。例えば、バス停でバスを待っている間に、風にのってきた緑のにおいを感じられた時、晴れた日の犬の散歩中に富士山を拝めた時、『あぁ〜幸せだな』ってしみじみ思います。それに何といっても、空気の美味しさ。これを毎朝のように感じられる喜びは、何にも代え難いですね」

―― 都会の空気とは、やはり違いますか?

「毎日都内に通っているからわかるんです、空気が全然違うなってことが。電車が逗子に近づくにつれて心が安らいでいきますし、着いた時に逗子の空気を吸うと、ほっと休めるんですよね」

――長時間、電車に乗ることは苦痛ではないですか?

「むしろ電車に乗っている時間が長い分、オンとオフをしっかりと切り替えられているんじゃないかなと思います。東京は気持ちをオンにするのにすごく適した場所ですが、その反面、なかなかオフに戻すのが難しいですよね。だから、長い通勤時間の中でゆっくりと気持ちを整え、やがて逗子の景色に出迎えられてオフになる。そんなメリットもあるのかなと。それに、長距離だからこそ、家に帰ってきた喜びがより強く感じられるような気もします(笑)」

――では、本当にストレスなく暮らせているんですね。

「そうですね。今は仕事のストレスもほとんど感じなくなりました。昔はよくこぼしていた愚痴も、ものすごく減りました。おそらく、人って完全にオフになると、オンで起きたことを忘れてしまうんですよね。だから、愚痴をこぼす以前に思い出さないんですよ。仕事の嫌な事を引きずらなくなったのは、逗子に流れるゆったりした空気のおかげです」

■人のやさしさ、距離感の近さも魅力

自然環境やのんびりした時間、それ以外にも、逗子の良さは語り尽くせないという麻衣さん。特に魅力に感じているのが、人と人との近さ。移住から3年が経った今では、ご近所さんともすっかり親しくなったそうだ。

「もともと人とふれあうのが好きなので、毎朝の何気ないコミュケーションが楽しいですね。東京にいた頃はご近所づきあいも希薄だったように思いますが、ここはとても濃いんですよ。引っ越してきた当初もお隣さんに地域の事を教わったり、たまにお野菜をいただいたり、ずっと助けられてきました。人に恵まれたのも、この土地を選んで良かったと思えた理由の一つですね」

――近所に行きつけのお店とかはあったりしますか?

「大きな商業施設はないですが、代わりにコーヒーショップやパン屋など地元に愛されているお店が多いんです。私も毎週末通っていますし、特にお肉屋さんには本当にお世話になっています。コロッケをサービスしてくれたり、私のつわりがひどかった時にはメニューにない『餃子』や『ひじき』を夫用に作ってくれたり。昔から住む方が多いエリアなのに、移住者の私たちを優しく受け入れてくれました」

――みなさん心にゆとりがあるから、人を気遣うことができるのかもしれませんね。

「ゆとりがあるだけじゃなくて、このエリアに住む方々ってみなさん明るくて、活動的なんですよね。流行ではなく、各々が自分たちの価値観に合ったものを選んで生活している気がします。しかも、それを強要するわけでもなく、こちらが知りたい時に優しく教えてくださる。距離感は近いけど圧を感じない、コミュニケーションが絶妙なんですよ」

■長距離を利用した通勤学習で資格を取得

ちなみに、麻衣さんは2時間近くある通勤時間を使って資格を取得したそうだ。そこで、電車内で有意義な時間を過ごすためのコツを聞いてみた。

――電車はいつも座って通勤しているんですか?

「逗子駅は始発列車なので座ることができるんですよ。始発列車でなくても、逗子駅では4車両が連結するため、一本待てば確実に座れます。次の駅の鎌倉以降は座ることが難しいので、たった一駅の差が大きかったですね」

――長時間通勤で立ちっぱなしは、さすがにしんどいですもんね。車内ではどのように過ごしていますか?

「仕事や読書、SNSなど様々なことをしています。曜日によってやることを変えたりもしますね。週に2時間だけでも続けると、結構な蓄積になっていくんですよ。通勤時間を使った勉強で、アロマの資格を取得したこともあります。
ただ、何が何でも有効利用しようというわけではなくて、行きか帰りのどちらかはぼーっと過ごして頭を空っぽにしています。瞑想に近いんですけど、何も考えない時間っていうのは脳に良い影響を与えるらしいんですよ。だから音楽を聴いて、リラックスするようにしていますね」

――僕だったら、毎日スマホを眺めているだけのような気がします。

「私の場合は、スマホを眺めているだけだと『虚しさ』や『不安』を感じてしまうんです。それに、毎日同じことをしていると飽きますし、疲れてしまう。だから、なるべくバランスよくいろんなことをやるようにしていますね。ちなみに去年は編み物に、先月はNetflixにハマっていました」

――さすが、通勤時間の上手な使い方を心得ていらっしゃいますね。

「意識すれば、いくらでも楽しめると思うんです。たまに、東京駅で牛タンとノンアルコールビール買って、ゆっくり味わいながらグリーン車で帰るんですけど、最高ですよ。とにかく最近はやりたいことが多すぎて、2時間でも足りないと思っています」

――むしろ、もっと長くていいと(笑)。それもこれも、逗子での豊かな時間があるからこそですよね。麻衣さんが長距離通勤と引き換えにしてでも手に入れたかったものの価値が、十分に伝わりました。

「一度ここでの暮らしを知ってしまったら、いくら通勤に便利でも東京に戻ろうとは思いません。景色をただ眺め、街の空気を吸い、地域の方々と交流する、これだけで人は十分幸せなんだと。そう気づかせてくれた逗子の街に感謝ですね」

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